時価71兆円…日銀“日本株爆買い”の後始末は?

小川キャスター:
ブレーキとアクセルを同時に少しずつ踏むという表現もありますが、日銀の植田総裁は、安倍元総理や黒田前総裁が推し進めた「アベノミクス」についてどのように評価するのか、ここも注目されましたが、いかがでしょうか?

片山記者:
19日、日銀は異次元の金融緩和策の功罪について今、検証を行っているということで、直接は言及しなかったんです。

ただ、19日の会見の発言で気になったのが、植田総裁が、「異次元の金融緩和策の役割は果たした」「(今後については)普通の金融政策を行っていく」と話したので、異次元の金融緩和策から決別するという意思だけは示したという形です。

小川キャスター:
ただ、そうした中で気になる発言があったということですが?

片山記者:
植田総裁は過去の話をしていました。いわゆる副作用の話なんですが、「過去の異次元緩和の遺産が当面残る」と発言しました。これを負の遺産とは言わなかったんです。

負の遺産というのは私の解釈ですが、過去に大量の国債の肩代わりを日銀がしてしまったこと。それと、時価71兆円のETF(=上場投資信託)、日本株の爆買いをこれまで大量にしてしまった。

黒田総裁時代に毎年何兆円もエスカレートしていって、日経平均株価が下がると、それを買い支える形で日銀が株価を助けていたということがあるんです。

これはいわゆる禁じ手で、世界の中央銀行でこういうことをやっているのは日本だけなんです。それがどんどん貯まっていって、含み額も含めると、時価で71兆円あるんです。

普通だったら株は儲かったら売るんですが、売ったら株価が急落するんです。だから売るに売れない状態が続いていて、株価に影響を与えないように売却してくとすると、230年近くかかるんです。

小川キャスター:
大変なことですけどね。遺産について真山さんはどう思いますか?

真山さん:
これを払うのはこれからの若い世代ですよね。「異次元」って、今、少子化で使い出した言葉ですよね。

本当に異次元の少子化対策をしたいんだったら、まず、日銀が保有する株を何とかしましょうよ。子どもたちにこんなプレゼントを残すっていうのは、大人として恥ずかしいと思わなきゃいけない。国は2度と「異次元」を使って欲しくないですね。