2008年、東京・秋葉原で7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件。加藤智大死刑囚の死刑が執行されました。当時、世の中を震撼させた事件が現在に与える影響とは。

■秋葉原無差別殺傷から14年 今も残る“無差別殺人”の傷あと

社会に衝撃を与えた2008年の秋葉原無差別殺傷事件。歩行者天国にトラックが突っ込んで人をはねた後、通行人が次々とナイフで刺され、7人が死亡、10人が重軽傷を負いました。事件を起こしたのは、加藤智大死刑囚(39)。2015年に確定していた死刑が、7月26日に執行されました。古川禎久法務大臣は・・・。

古川禎久法務大臣(7月26日11時過ぎ)
「極めて重大な結果を発生させ、社会にも大きな衝撃を与えた誠に痛ましい事件です。(死刑)執行命令書にサインをしたのは、7月22日であります」

事件発生から14年。

南波雅俊キャスター
「17人を巻き込んだ無差別殺傷事件が起きた秋葉原の交差点です。26日は平日の午後ですが、人々が多く行きかっています」

事件を目撃した男性。26日、あらためて「あの日」を振り返りました。

菊地無線電機 菊地隆さん
「あんまり騒がしいから『なんだ?』と思って、あの窓から見たら男性が6~7人倒れていた」
「(トラックで)飛び込んでくるなんて、とんでもない。考えも想像もつかないでしょう」

記者
「26日、一区切りがついたが、どう思いますか?」

菊地無線電機 菊地さん
「当然でしょう。だってあれだけのことしたんだからね」

■凄惨な現場・・・当時何が?

2008年、6月8日。事件は、日曜で多くの人が行き交う、秋葉原の歩行者天国で起きました。現場には、対応に追われる救急隊や警察官の姿が。そして、多くの血痕が残されていました。

この時逮捕されたのが、当時25歳の加藤智大死刑囚です。加藤死刑囚は事件前、レンタルした2トントラックで秋葉原へ。そして、歩行者天国になっていた道路にトラックで突っ込み、歩行者を次々とはねました。

目撃者
「2トン車がすごいスピードで走ってきた。見ていたらジグザグに3~4回転しながら4~5人なぎ倒していった」

交差点近くの防犯カメラは、突っ込んだ直後のトラックを捉えていました。その後、1人が交差点の方向に走り去った次の瞬間。逃げてくる人の姿が映っていました。

目撃者
「最初は交通事故だと思ったんですけど、後から人が降りてきて、ナイフを持って逃げていった」

加藤死刑囚は、トラックを降りた後、交差点に戻り、通行人などを無差別に刺していったのです。

目撃者
「(ナイフは)遠くから見ていても分かったので、結構大きかったと思う。倒れた人を馬乗りになって刺していて・・・」

日曜の昼下がりに起きた凄惨な事件。犯行前、加藤死刑囚は自らの行動を携帯サイトの掲示板にこう書き込んでいました。

サイトの掲示板
「秋葉原で人を殺します」
「途中で捕まるのが一番しょぼいパターンかな」

目撃者
「(警察官は)1人ですよ。1人で追いかけてきて1対1で警棒で戦っていて」

事件当時、秋葉原の交番に勤務し、加藤死刑囚を取り押さえた荻野尚さんは、その時の状況について、こう話していました。当時秋葉原の交番に勤務 荻野尚さん
「警棒で威嚇しながら、拳銃を出したという感じです」

取り押さえる際の加藤死刑囚は素直にナイフを捨て、無表情だったといいます。当時秋葉原の交番に勤務 荻野さん
「加藤(死刑囚)は崩れるように、ここに座りかけたという感じでした。最後はゲームオーバーという感覚に見えましたけど」

なぜ、あのような無差別な犯行に及んだのでしょうか。加藤死刑囚は、こう供述していました。

加藤死刑囚
「ネットの人たち対する“復讐”だった」
「おまえらが俺を無視するからこんな大事件が起きてしまったんだと思わせ、責任を感じさせてやりたいと思った」

職場でのコミュニケーションやネット上でもほとんど反応が得られなかったことが、犯行の引き金を引いたというのです。