■第96回選抜高校野球大会 第2日 豊川ー阿南光(19日、甲子園球場)
選抜高校野球大会第2日の第1試合は豊川(愛知)と阿南光(徳島)が対戦。11対4で阿南光が2回戦へ駒を進めた。大会屈指の好投手、阿南光の吉岡暖(3年)が11奪三振4失点の完投勝利、豊川はモイセエフ ニキータ(3年)の今大会第1号ホームランもあと一歩及ばなかった。
2019年に新野と阿南工が統合した阿南光、夏の甲子園は2021年に経験、センバツは統合以前に新野が1992年に出場した以来、32年ぶり2度目となった。
阿南光の先発は不動のエース・吉岡暖(3年)、秋の公式戦で8試合中7試合に完投、秋の四国大会では松山商(愛媛)、鳴門(徳島)に勝利を収めている。62回2/3を投げて奪三振が66。今大会ナンバーワンの奪三振数を誇る。
1回表、阿南光は1番・福嶋稟之介(3年)がセンター前ヒットで出塁すると、2番・西村幸盛(3年)もセンターへツーベース。無死2、3塁のチャンスを作ると、内野ゴロ2本で2点を先制した。
その裏、阿南光の先発、エース・吉岡暖(3年)は豊川の1番・林優翔(2年)を139キロのストレートで空振り三振、そして注目されるロシア出身の両親を持つ3番・モイセエフ ニキータ(3年)、秋の公式戦17試合で打率.576、6本塁打、33打点と今大会の「三冠王」。ストレートで追い込むと最後は内角高めのフォークで見逃しの三振に打ち取った。
試合の流れをつかんだ阿南光は2回表、四死球とヒットで2死満塁の場面を作ると豊川の2人目・林優大(3年)から2番・西村が走者一掃となるレフトオーバーの3点タイムリーツーベース。5対0と追加点を奪った。
3回表、吉岡は2つの四球で2死1、2塁とスコアリングポジションに走者を置くと、中学からバッテリーを組むキャッチャーの井坂琉星(3年)がマウンドへ。この場面で一呼吸間を開けると豊川の2番・高橋賢(3年)をレフトフライに打ち取り無失点に抑えた。4回には3番・モイセエフと2度目の対戦。カーブを3球続けてカウント2-1と追い込むと最後はフォークで2打席連続三振に打ち取った。
吉岡は5回まで毎回奪三振、7つの三振を奪う好投。6回まで打たれたヒットはわずか1本と豊川打線を抑えていた。そして、終盤の7回、球威が落ち始めると豊川の先頭、4番・中村丈(3年)にライト前ヒット、5番・北田真心(2年)にレフト前ヒットとこの試合、初めて連打を浴びた。その後、四球を与え2死満塁のピンチを招くと豊川の代打・三浦康生(3年)にレフト前へ運ばれ、1点を奪われた。しかし、阿南光のレフト・福嶋がホームへ好返球。2塁走者の生還は許さず、最少失点で留めた。
8回裏、1死1塁で迎えるは3番・モイセエフ、カウント2-0と吉岡は追い込んだが111球目のフォークが高めに浮き、今大会から使用されている低反発の金属バットの影響を感じさせない弾丸ライナーでスタンドへ飛び込む今大会第1号のツーランホームラン。5対3と2点差に詰め寄られた。
それでも9回表、阿南光は四球を挟み4連打を放つなど6点を奪い11対3とリードを広げた。9回裏のマウンドにも吉岡が立ち、3本のヒットと四球で1点を失い、1死満塁のピンチも2番・高橋をフォークで空振り三振、そして、前の打席でホームランを打たれた3番・モイセエフ、カウント2-0と追い込むと最後はフォームで空振り三振。吉岡は143球、11奪三振で完投勝利を収めた。














