バイデン大統領とトランプ前大統領の再戦が固まった11月の大統領選。もし、トランプ氏が勝って第2次トランプ政権が誕生する場合、どんな人物が政権幹部に就くとみられているのか?現地で政府・議会関係者らと接触し、調査を重ねている米州住友商事・ワシントン事務所の渡辺亮司調査部長はどう分析しているのだろうか。
(本記事はPodcast「週刊・アメリカ大統領選2024」3月16日配信分の内容を元に構成しています。 https://www.tbsradio.jp/president2024 )

トランプ氏が重視する要素と“注目株”

「政策よりも忠誠心」
これが、トランプ氏が人事を決めるうえで重視する要素になるという。渡辺調査部長は「現時点では憶測に過ぎない」と前置きをしつつ、こう続けた。

米州住友商事・ワシントン事務所 渡辺亮司調査部長

米州住友商事・ワシントン事務所の渡辺亮司調査部長
「1期目のグローバリストやトランプ氏に批判的であった人物は2期目には復帰しないと見られています。たとえば、レックス・ティラーソン元国務長官、ゲイリー・コーン元国家経済会議委員長、ジム・マティス元国防長官、ジョン・ケリー大統領首席補佐官などです。『トランプ2.0』は、トランプに忠実かどうか(ロイヤルティ)をイデオロギーや政策よりも重視すると言われています。

7月に行われる共和党大会では、副大統領候補(=ランニングメイト)も明らかになる。一時は、候補者指名レースを争ったニッキー・ヘイリー氏の名前も取りざたされていたが、ほかにも名前が上がっていて、依然として不透明な状況だ。誰が副大統領候補になるのか。渡辺調査部長はここでも「トランプに忠実な人物を選ぶと思う」と話す。

サウスダコタ州知事クリスティ・ノーム氏

渡辺調査部長
「本来であればバイデン政権のカマラ・ハリス副大統領に対抗し、マイノリティかつ女性のニッキー・ヘイリー氏が適任であり、党内団結にとっても望ましかったと思います。しかし、選挙戦で関係が悪化しました。噂されているのは、保守派イベント『CPAC』の模擬投票で1位だったサウスダコタ州の知事クリスティ・ノーム氏と、候補者指名レースを争ったビベック・ラマスワミー氏です。」

そして、渡辺調査部長は最近の“注目株”にも言及した。

渡辺調査部長
「一般教書演説の後に共和党代表で反対演説をしたアラバマ州選出のケイティ・ブリット上院議員がいま注目されています。現在、42歳の彼女は女性としては共和党史上、最も若く上院議員に当選した政界のライジングスターです。」

ケイティ・ブリット上院議員

この他にも、下院共和党指導部のニューヨーク州選出のエリス・ステファニック下院議員、無党派のトゥルシー・ギャバ―ド元下院議員、そして可能性は低いと見られていますが、サウスカロライナ州選出のティム・スコット上院議員なども副大統領ポストを狙っているとみられている。