イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に指導を受けた都立新宿高校の生徒が15日、卒業を迎えた。2022年11月に2日間イチロー氏の指導を受けた同校野球部。当時2年生だった4人の球児は、野球部引退後に受験勉強に励み、見事難関大学に合格した。辛い時期に4人を奮い立たせたのは、イチロー氏からかけられたある言葉だったという。
イチロー氏の言葉を支えに難関大合格
◆中澤志弥主将(東京外国語大学 言語文化学部言語文化学科)

Q.どんな3年間でした?
中澤志弥(なかざわ ゆきや):
充実した3年間だったなと。勉強、部活を全力でやってきたからこそ、こういう幸せな気持ちで卒業出来る。やっぱりイチローさんが2年(生)の11月にいらっしゃって、それが人生の中でビッグイベントというか。(最後の夏の東東京大会4回戦の相手)共栄学園との試合は引退しても話します。力の差はありましたけど「勝てる試合だったよね」と。悔しい思いが残っているので、それを糧にしていきたい。振り返ってみるとみんな頑張ってきたのかなと思っていて、イチローさんが来たのもひとつの契機となって、これから頑張っていこうとかそういう意識が芽生えたのもイチローさんが来たことがきっかけでした。
※新宿高校は、甲子園初出場を決めた共栄学園に4回戦で敗れベスト32で敗退
Q.一番印象に残っている言葉は?
中澤:一番最後におっしゃった言葉だったので「ちゃんとやってよ」は覚えています、光景も。一生懸命勉強して、第一志望に合格する事が出来たので、“ちゃんとやりました”、今のところは。ここをゴールではなくスタートにして、新たな自分の人生を切り拓いていけたらいいなと思います。
◆清水大賀外野手(筑波大学体育専門学群)

Q.イチローさんが来た時に「その気持ちは」と質問したら、「地球が滅びるぐらい」って表現していましたね。
清水大賀(しみず たいが):
「本当にありえない」なと思ったので(笑)。本当に来てくださったときは、何がなんだか分からないというのが一番で。すごく親身になってアドバイスをしてくださって、話を聞けただけ、あのオーラを近くで感じられただけで、すごく貴重な機会だったと思いました。
Q.人生で一番の出来事?
清水:比べる対象がないので(笑)1番ですね。イチローさんに指導してもらったという野球人としての喜びもあったんですけど、その後テレビで放送されたのを見て、嬉しいだけではなく、悔しい気持ちも出てきて。ゆるいとコメントされて、引き締めていかないとダメだなと思いました。時間が無いというんだったら、そういうところの無駄を無くそうと、厳しめに声をかけるように意識をしていました。
※イチロー氏は部員の動きを見て「ゆる〜い空気が流れているのが面白いね。僕らにとっては新鮮な光景だね」とコメント
Q.イチローさんに植え付けられた意識は清水君の中でも変わっていった?
清水:野球で見返したいというか。「新宿高校意外とやるじゃん」って。夏の大会(ベスト32で敗退)では見返す事は出来なかったんですけど、個人として、新宿高校を背負う身として、何か野球でイチローさんの耳に届くぐらいの結果を残していきたいと思っていますし、大学で硬式野球をやろうと思っています。イチローさんと出会えて、もっと自分は出来るんじゃないかという思いにもなれたので、より続けようという思いが増しましたね。「ちゃんとやってよ」というのが耳にすごく残っているので、ちゃんとやろうと思って、受験勉強も最後までやりました。一番印象に残っているのはあの言葉ですね。
Q.ちゃんとやったんですね。
清水:はい(笑)。