「お母さんが倒れているのは、いつものこと」…佐々木さんはそのまま登校します。
しかし帰宅後、玄関を開けると母親はそのままの状態で倒れていて、すでに冷たくなっていました。
佐々木龍成さん
「今でも覚えてるんですよ、どこに倒れてどういうポーズまで覚えてるし。あの時朝起きて『お母さん』って体を揺らした時のあの温もりまで手に残ってるくらいハッキリ覚えていて。正直あの時にもし救急車を朝の時点で呼んでいたら、お母さんは生きていたかもしれないし…。そんなことないって警察の方から言われたんですけど、でもそれでもやっぱり…自分のせいでもあるのかなと思う」

母親への憎しみと後悔という複雑な感情を抱えたまま11年間、児童養護施設で暮らしました。
自身の経験から、福祉系の学部がある大学へ進学を決めました。
佐々木龍成さん
「実習とかでも医療機関に行かせてもらったんですけど、結構やっぱり医療分野に自分が元から興味があったので」

現行の児童福祉法では、「社会的養護」を受けられるのは、原則18歳まで。
佐々木さんも大学進学をきっかけに、自立することを余儀なくされました。
佐々木龍成さん
「(施設を出て)一番の困難は『生活費どうするか』っていうところですね。正直、施設の中にいたときに訓練するかっていうと別にしない。どう支払いをしたらいいか分からないとか、無駄遣いはしてはいけないとか、そういうところが本当に分からなくて」