「予測よりも早い津波」“海底地すべり”で発生か

能登半島地震で起きた津波。実は、予測よりも早く津波が確認された場所があった。富山県。
有川教授
「多分この辺の石が散乱しているんですが、多分高波ではなくて津波だと思いますので」

調査を行っていたのは、中央大学の有川太郎教授。
一般的な津波は海中のプレートなどが跳ね上がって起き、海面を伝わり陸地に到達する。

有川教授のシミュレーションでは、今回の震源域で発生した津波が富山沿岸に到達するまでには、20分程度かかるはずだった。しかし、地震から8分後の映像を見てみると…

有川教授
「この辺とか黄色いところくらいまでちょろっと行き始めてますよね」

水面の変化に注目すると、地震直前と比べて、段差2段分=80センチほど高くなっている。有川教授は波の周期などをデータ化することによって、津波が予測より12分ほど早く来ていたことを突き止めた。
なぜ津波は早く到達したのか。

有川教授
「何らかの原因で(震源とは)別の所で津波が発生した。富山の湾の地形から言うと“海底地すべり”ということも視野に入るのではないか」
“海底地すべり”。海の中の斜面が崩れると水面はどのように動くのか、実験を行った。
地すべりが始まると、水面に変化が。真横からのスロー映像。水面に赤い線を引いてみると…砂の動きに引っ張られるように水面がいったん下がるのが分かる。その後、水面に揺らぎが見られた。
さらに、より急な斜面で大規模な地すべりを再現してみる。斜面の逆側の陸地には家や木の模型を置いた。はたして…


先ほどよりも大きく水面が下がり…反動で津波が発生。
ハイスピードカメラで見てみると…やはり水面が一度下がった後、大きなうねりが…。陸地手前では引き波が起き…、その後一気に津波が押し寄せた。波はいったん引くが、何度も押し寄せてくる。

さらに、地すべりの直後、津波は崩れた斜面側の陸地にも到達していた。
有川教授
「急な勾配で大きな塊が動けば 地すべりだからといって津波が起こらないわけではなく非常に大きな津波が起こる可能性もあるということだと思います」

実際、2018年にインドネシアを襲ったこの津波も「海底地すべり」が主な要因だと考えられている。

日本では、太平洋側に大きな被害をもたらすと予測されている南海トラフ巨大地震でも、海底地すべりによる津波が心配される。しかし、この津波…気象庁による津波予測の対象外で、ハザードマップにも反映されていない。
有川教授
「そういう意味では想定外の津波とも言えるかもしれない。場合によっては予測を上回るような早さで津波が来ることもあるので、そういったことも気にしながらどこに逃げるのか考える」
そして、ハザードマップに載ってない危険な津波は他にも…。