今後、30年以内の発生確率が70~80%と高い「南海トラフ巨大地震」。この巨大地震の震源域で今、何が起きているのかを捉えようと、様々な観測がリアルタイムで行われています。果たして、巨大地震の前兆現象は捉えられるのでしょうか?

JAMSTEC=海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」。紀伊半島の沖合およそ60キロ。去年11月、南海トラフ地震の震源域で「ちきゅう」が行っていたのは、水深2650メートルの海底の掘削です。

掘った孔に埋められるのは、JAMSTECが開発した「光ファイバーひずみ計」。10億分の1メートルという、とてつもなくわずかな動きも捉えられるこのセンサーで狙うのは「ゆっくりすべり」と呼ばれる地震の一種です。

JAMSTEC 地震津波予測研究開発センター 荒木英一郎さん
「どういうふうにゆっくりすべりが変化しつつあるのかを捉えることを期待している」

通常の地震は、断層が高速ですべって揺れや津波を発生させますが、ゆっくりすべりは断層が数日から数か月、時には数年かけてゆっくりと動く現象で、揺れや津波は起きません。

このゆっくりすべりは地震の前兆現象ではないかと考えられていて、これを南海トラフ地震の震源域で観測することで巨大地震の発生予測につなげようという狙いです。

JAMSTEC 地震津波予測研究開発センター 荒木英一郎さん
「模擬的にゆっくりすべりが起きたときに、どういうふうに検知されるかやってみます。光ファイバーひずみ計を触ると、光ファイバーが温まることによって伸びていく。ゆっくりすべりが起こることによって、光ファイバーが伸びることを検知している」

2011年の東日本大震災では、十分な観測体制がなかったため、前兆現象を捉えることが出来ませんでしたが、その後、紀伊半島沖や四国沖の海底に地震計やひずみ計の観測網を構築。さらに高精度の光ファイバーひずみ計を今回の紀伊半島沖だけではなく、四国沖と宮崎沖にも設置する計画で、新たな観測体制を作って南海トラフ地震に備えます。

JAMSTEC 地震津波予測研究開発センター 荒木英一郎さん
「(南海トラフ地震の)震源域では、ひずみをためているが、そこへの(ゆっくりすべりの)影響とか、現状どの程度、地震の準備が進んでいるのかを診断することができるのではないか」

現在、千葉県沖でも発生しているゆっくりすべり。来たる巨大地震の予測に向け、ほんのわずかな断層の動きも見逃さない研究・観測が本格化しています。