日経平均株価が史上初めて4万円を突破した。
しかも専門家が口々に「この株高はバブルではない」、さらには「4万円は通過点に過ぎない」など景気のいいことを言う。
果たして今、日本の市場はどうなっているのか…。空前の好景気の実態を探った。
「日本株ならどれでもいいやってことじゃない」
バブル経済の絶頂期でも、株価最高値は3万8915円。それが35年の歳月を経てついに4万円を超えた。背景となっているのは、新NISA導入などによる国内投資も増えているが、やはり海外からの投資による、いわゆる"日本買い"が大きい。
内訳をみると北米が約0.8兆円、アジアが約0.2兆円、欧州が約4.4兆円。欧州が飛びぬけて多いが、実は中東のオイルマネーがロンドンのファンドを通して日本株を買っているために名目上欧州の額が伸びているという。中東のオイルマネーの投資先と言えば多くはアメリカ市場だ。石油がドル建てで決済されるため中東にはドルがふんだんにあるからだ。
だが近年、中東の政府系ファンドはアジアへの投資を増やそうとしていると話すのは政府系ファンドを中心に扱う調査会社『グローバルSWF』の創設者だ。これまでアジアへのオイルマネーの投資先は中国が主だった。しかし…。

『グローバルSWF』創設者 ディエゴ・ロペス氏
「今の情勢の中で中国への投資はこれ以上増やしたくない。(中略)日本はアジアの他の選択肢より安全と言える。アジアへの投資を増やすなら日本は地政学的な干渉を受けず安全に配分できる」
確かに中国経済は下降の一途。米中対立、台湾情勢などの地政学リスクを避ける意味でも日本は優良な投資対象なのだ。しかし、そういった相対的に見て"日本の方が安心・安全"ということではなく、中東のファンドが目を付けたということは別の観点があるというのは、かつて日産自動車のCOOを務めた志賀俊之氏だ。

元日産COO 志賀俊之氏
「中東のファンドはしっかりと研究している。日本株ならどれでもいいやってことじゃなく、日本の中でどこが成長していくのか、しっかり企業ごとに研究した上でお金を入れている。だから株価が上がっている会社はどんどんどんどん上がっていく。AIや半導体なんかですけど…。変な話なんですけど、今日4万円超えても自動車はみんな下がってますし…。中東だけではなく、今は選別した投資がしっかり行われている…」
経済評論家の加谷珪一氏も中東のファンドは細かく調査し、成長する企業にしか投資しないという。つまり、中東のオイルマネーがつぎ込まれた今回の好景気はバブルではないことの証とも言えるかも知れない。