マイナス金利解除はいつ? 好循環の兆しも実体経済は乖離

2月28日、ブラジルで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議。日銀の植田総裁は、2%の物価目標の達成について改めて認識を示した。

日本銀行 植田和男総裁:
今のところ、まだそこまでには至っていない。賃金と物価の好循環がうまく回り出しているかどうか、強まりつつあるかどうかということを確認していく作業を続ける。今年の春季労使交渉の動向は、その確認作業の中で1つの大きなポイントである。

日銀のマイナス金利解除への動き、その背景にあるのは、物価と賃金の好循環の兆しだ。

総務省が発表した1月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合が去年の同じ月に比べ2.0%上昇した。物価の上昇は22か月連続で2%以上となっているが、食料品の値上がりが落ち着いたことなどから、伸び率は3か月連続で減少している。

物価上昇を上回る賃上げが焦点となる中、企業からは満額回答が相次いでいる。サントリーホールディングスは、定期昇給とベースアップを含め、平均約7%の賃上げで労働組合と妥結と発表した。

サントリーホールディングス 新浪剛史社長:
2025、2026年も人手不足がゆえに給料が上がっていく方向に見ている。有為な人材を集めるためには戦略的にやらないと負けてしまう。

モスバーガーを運営するモスフードサービスは、定期昇給とベースアップを含め、平均で8%の賃上げを実施すると発表した。

2月27日に行われた「新しい資本主義実現会議」の場で岸田首相は「今こそ、デフレ心理とコストカットの縮み志向経済から、完全に脱却し好循環を実現する経済を目指している」と語った。

一方で、実体経済には不安材料も出てきている。

今週発表された1月の鉱工業生産は、ダイハツの工場停止などが響いて、2023年12月と比べて7.5%低下した。エコノミストの中ではGDPが3期連続でマイナス成長の可能性があるとの見方も出てきている。

また、物価の変動を反映した実質賃金は2023年12月まで21か月連続で前年を割っている。物価の上昇に賃金が追いついていない。こうした中でのマイナス金利の解除は、金利や為替、株式市場にどう影響するのか。