■大人用の解熱剤を子どもに飲ませないで

病院に行けない場合の注意点として、森内教授は、「大人用の解熱剤などを子どもに飲ませない」ことを挙げています。
ーー子ども用の解熱剤がない場合は、どうすればいいのでしょうか?
長崎大学大学院 森内教授:
かかりつけの先生に相談ということだと思います。かかりつけの先生であれば、その子のことや家族の背景などがわかった上で、処方箋を薬局に送ることができます。知り合いに頼んで薬局から持ってきてもらうか、行政サービスがあれば利用するということになると思います。やはり、お子さんに合わせて薬をちゃんと出してもらうということは不可欠だと思います。
解熱剤で熱を下げることが治療にそのまま繋がるわけではなく、あくまでもお子さんの気分を楽にして、ゆっくり休んだり、飲んだり食べたりすることができるようにすることが目的です。部屋の温度などいろいろなことを工夫してお子さんが少し楽に過ごせるようにすることは、薬を飲むこと以上に大事だと思います。
ーー市販の子ども用の解熱剤を使ってもいいですか?
長崎大学大学院 森内教授:
多くの場合、問題ないと思います。年齢に応じて売っているものをきちんと選ぶことです。基本的に子どもに使いやすいのは“アセトアミノフェン”と言われるものです。大人に効くからといってそれ以外の薬をあげると強い副作用が出ることもありますので、あまり安易に使うことは避けた方がいいと思います。
ーー解熱剤を病院であらかじめもらっておくのはどうですか?
多くの解熱剤は頓服という形ですので、以前に何かで病院に処方してもらった残りがあれば、それを使うことは問題ないと思います。
恵俊彰:
元気な時に、ご家庭で子ども用の解熱剤を用意しておくのがいいかもしれませんね。
■夏休みスタート 学童や塾で小規模感染の恐れも

各地で夏休みが始まりました。子供の感染状況に影響はあるのでしょうか。
東北大学大学院 小坂教授:
学校はきちんと感染管理をやっているので、学校で広まるのはそれほどないんですよね。逆に夏休みになって友達の家に遊びに行ったり、濃厚接触が増えるかもしれません。大きなクラスターは起きにくくても小さな感染は起こりうるし、あるいは家族からお子さんたちに移すことも結構ある。大人がきちんと対策をとっていくことが非常に大事だと思います。
長崎大学大学院 森内教授:
学童保育は教室に比べ、さらに密の状態になるし、学習塾も街中の雑居ビルの中にあったりすると窓を開けたりしないんですよね。外はうるさいし冷房の効率も悪くなるので。そうなると学校以上に感染しやすくなる恐れもあります。学校が閉まれば大丈夫だと短絡的には行かないと思います。
ーー夏休みに気をつけて過ごす方法を教えて下さい。
東北大学大学院 小坂教授:
可能であれば外で遊ぶ。外にすれば、20分の1くらいにリスクは減りますから。不特定多数の人が集まるところに関しては、なんとか換気をしていただくということが非常に大事です。
・可能なら2か所あけて風が通るようにする
・扇風機などををうまく活用する
・フィルターがついた空気清浄機を活用する
が有効です。
長崎大学大学院 森内教授:
私達はトータルで健康のことを考えないといけない。新型コロナだけが、私達の健康を脅かしているわけではありません。元気に健康で楽しい生活をして、免疫力・基礎体力を高めることも、とても大事です。
子どもにとってはコロナよりもっと怖いRSウイルスや、もしかしたら、この秋にインフルエンザの流行がくるかもしれない。新型コロナのことだけを考えてキリキリするのではなく、子どもたちの今の心と体の健康、そして将来にわたっての健康のことを考えて過ごしていただければいいなと思います。