3年ぶりの行動制限のない夏休み。しかし、第7波が列島を襲い、新型コロナの感染は子どもたちにも広がっています。「子どものコロナ」。その注意すべき特徴と、熱が出た時の対処法、さらに夏休みの過ごし方について、日本小児感染症学会理事長を務める小児科医に詳しく聞きます。

■10代以下の感染者が増加 ひっ迫に近い状態のクリニックも


7月20日の大阪と東京における新規感染者の年代別の内訳を見ると、10代以下が最も多くなっています。子どもの感染が増えているのが分かります。

東京都内の小児科クリニックの発熱外来では、2~3週間前から患者が急増し、ひっ迫に近い状態だといいます。

小児科クリニック ばんびぃに 時田章史院長:
2~3週間前から徐々に患者が増えている。7月19日、20日は普段の倍以上の患者を診察した。医療スタッフも疲弊するほど忙しくなっている。「自宅療養期間の10日間を空けても咳が残るので、追加のお薬が欲しい」というようなケースが前よりも増えている。

ばんびぃに小児科クリニックでは、発熱症状がある患者のコロナ陽性率は、小学生で8割。小学生未満では3割だということです。ケースとしては、熱中症を疑って来院した5人中4人が陽性。さらに、3~4月にコロナに1回感染している子どもが2、3か月経ってまた感染をしているという例もあります。

ーー子どもの感染がかなり増えているんですか?

日本小児感染症学会理事長 長崎大学大学院教授 森内浩幸氏:
子どもの感染者は間違いなく増えていると思います。ただ、健康な子どもであればそれほど重症化することはありませんので、決してパニックになる必要はないと思います。心配で病院に押し寄せることによって、重症の患者さんを診る体制がうまくいかないというところを何とか解決しないといけないと思います。

■第7波の“小児コロナ”症状 特徴は?

▼第7波(オミクロン株)小児コロナ感染者の症状の特徴
・肺炎は少なめ
・味覚・嗅覚の異常はほぼなし
・「クループ」という喉の炎症が多い
・熱性けいれんを起こすケースが目立つ


ーー「クループ」について教えてください。

長崎大学大学院 森内教授:
クループは、声帯のある喉のあたりと、気管のあたりを中心に炎症が起こります。
・声が枯れてくる
・子犬が吠えるみたいなケンケン、キャンキャンした特徴的な咳をする
・ヒューヒューとした息づかいになる
といった症状があります。

ーー軽症が多いですか?

長崎大学大学院 森内教授:
全体としては軽症が多いですが、感染している子どもの数が圧倒的に増えましたので、本当に病気が大変で受診したり、入院しないといけない子どもたちは明らかに増えてきていると思います。

恵俊彰:
小さい子どもだと、RSウイルスや溶連菌など、風邪に似た症状のものが他にもいくつかあるので親御さんは心配でしょうね。

長崎大学大学院 森内教授:
特に10歳未満では、他の感染症も流行りだしています。症状はどれも似ていますから、なかなか区別がつかないだろうと思います。新型コロナが特に怖いというわけではないので、お子さんの状態に応じてきちんと対応することです。

熱性けいれんにしても、ほとんどは病院で確認して家に帰れるような軽症ですけど、初めて子どもがひきつけを起こして安心して見ていられる親御さんがいるわけありませんし、普段しないような特徴的な咳をしたりゼイゼイしたら、パニックになるのは当然だと思います。

きちんとご家族の不安に応えることができるような診療体制を守らないといけない。感染者を診るところを別に作って、そこにローテーションで医師会の先生が待機して対応していくなど、災害医療のつもりでいろいろな体制を作り直す必要があると思っています。

東北大学大学院 小坂健教授:
昼間はまだいいんですけどやっぱり夜間ですね。夜間の救急が混み始めるといったことが起きています。夜間もきちんと順番で診察できる体制を、地域で確保しておくことも重要だと思います。