8年前、大分県別府市にある県立南石垣支援学校で高等部の女子生徒が給食をのどに詰まらせ死亡した事故で、遺族が県などに損害賠償を求めた裁判が3月1日に判決を迎えます。娘はなぜ亡くなったのか――母親が今の思いを語りました。

第三者委員会、学校の対応に問題点指摘

2016年に亡くなった林郁香さん(当時17)。生まれつき重度の知的障害があり、小学部から大分県立南石垣支援学校に通っていました。

母・林香織さん:
「朝起きたら、すぐニコニコ笑っている感じで。毎日毎日楽しそうに周りの大人の人でも友達でもきょうだいでも、遊んでくれるのがうれしいという感じでした」

林郁香さん

あわただしくも穏やかな日々を送る中、2016年9月、林さん一家の日常は一変しました。当時、高等部3年の郁香さんが給食の時間におかずをのどに詰まらせて呼吸困難となり、病院に救急搬送されました。

林香織さん:
「病院の先生たちが大きな声を出していて、ガシャンガシャン機械の音がしていて走っていた。医師から『呼吸が止まっていた時間が長かったのでちょっと厳しい状態です』というような説明があったのを記憶しています」

およそ2週間後、郁香さんは亡くなりました。原因調査のため、医師や特別支援教育の専門家らによる第三者委員会が立ち上がり調査を実施。その結果、委員会は報告書で『口いっぱいに食べ物を入れたことで呼吸困難を生じた』と結論付けました。

また、『給食中に郁香さんを一人にしたこと』や、『倒れたあと適切な救命措置が取られなかったこと』は大きな問題としています。

事故後の対応に不信感を募らせた遺族は県などに対し、およそ3700万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。原告側の代理人は「主な争点は2点ある」と話します。

亀井正照弁護士:
「給食時間中に見守り義務があったのかどうかというのが一番大きな争点です。そして事故が起きたあとに救護義務、助けることができなかったのかどうかの2点になる」