シリーズ「現場から、」能登半島地震です。富山県の名産として知られるベニズワイガニ。そのカニを獲る漁師たちは、地震で大きな被害を受けました。全て失った漁師が再び海に向かうまでを追いました。

新湊漁港 カニ漁師 塩谷久雄さん
「操業場所を見に行ってきたが何もなかった」

先月1日の地震で被害を受けた富山県射水市のカニ漁師・塩谷久雄さん。カニを捕獲するため海に沈めていた籠が地震の影響で全て流されました。

富山県の名産「高志の紅ガニ」として知られるベニズワイガニ。富山のカニ籠漁は、餌を入れた円錐形の籠を水深800~1000メートルの海底に連ねて沈め、カニを誘い込んで漁をします。

しかし、このカニ籠が今回の地震で発生した富山湾内での海底地すべりで土砂に埋まってしまったとみられています。

1月はカニ漁の最盛期ですが、塩谷さんらカニ漁師は海に出られない日が続きました。カニ漁に携わって45年。こんなに長期間休んだのは初めてだといいます。

漁の解禁後、毎年市内の小学生たちに一人1杯のカニが振る舞われるカニ給食。地元の誰もが漁の再開を待ち望んでいました。

先月29日。

「メインのロープに結んである。結んであるところきたら、こうやって海の中放り投げる」

ようやく漁ができるだけのカニ籠がそろいました。

「じゃあ、いこうか」

およそ40日ぶりに操業を再開しました。

籠を沈めてから13日後。ことし初めて、籠を引き揚げます。

「船長、船長、カニ入っています。カニ入っています」
「何杯?何杯?」
「5、6杯」

カニが入っていました。

「やった、入っとった」

あまり大きくはありませんが、この日は例年と変わらない数のベニズワイガニが獲れました。

午前9時ごろ、漁船が港に戻ってきました。

新湊漁港 カニ漁師 塩谷久雄さん
「久しぶりに漁に出てね、天候も良かったし、気持ちよかったです。カニも入っとったし、みなさんのおかげです」

学校給食でカニをごちそうになった地元の小学生たちが漁師のもとにやってきました。

地元の小学生
「学校でみんなとカニを食べられて、とても嬉しかったです」
「これからも皆さんを笑顔にしていってください」
漁師
「はい、頑張ります」

漁師たちを励ますために訪れたのです。

新湊漁港 カニ漁師 塩谷久雄さん
「カニを待っとる子どもたちとかね、そういう方々おられたら、頑張って漁していきたいと思っています。泣けてくるね」