~次世代通信「IOWN」が描く未来~ 「世界標準」獲得のカギは?

――光を使った技術開発は、NTT「IOWN」以外にもある?

NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
世界には、この次の時代は光だということを目指して進めてきてた企業が多くいたと思う。しかし、2019年の4月にNTTから『Nature Photonics』という大変有名な雑誌に、世界で初めて「光のトランジスタ」の発明に成功したと発表。これにみんな驚いて、いよいよ光を使った情報処理の時代に入れるかもしれないということで、いろんな企業が集まって一緒にこのフォーラムをやろうと立ち上がったのが「IOWNグローバルフォーラム」(アジア・欧米含む138企業・団体が参加)。

――NTTだけでなく、デバイスメーカー、ソフトウェア会社、自動車メーカーも含めて一緒になって「IOWN」を発展させる研究が進んできている?

NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
光と一言でいっても、幅広い研究開発をしなくてはいけない。例えば光をベースにした新しいコンピュータができると、今までと違ったオペレーションシステム、ソフトウェア、OSが必要になったりする。すると、このOSを手がけてきた企業がさらに新しい世界で活躍して作っていくっていうことが求められる。(各社・団体が)いろいろな役割分担をして実現していくということで集まってきている。

NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
今回、「IOWN」の場合は、みんなでこれを実現しようということをスタートにしたので、それでデファクト(事実上の世界標準)という形で進めていきたいと思っている。同時に、(公的なルール作りである)デジュールへの取り組みをしている。デファクトスタンダードの場合はどうしてもここに加われる企業や国は限られてくる。こういう技術は地球上、いろいろな国、形、社会で使っていくことを考えると、公平に議論されて標準化していく場も必要となるので、それを私達もITU(国際電気通信連合)という場でやっていきたいと思っている。

――ルール作りの段階になると、欧米に主導権がとられがちだが。

NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
(通信網の国際標準を策定する)ITUの局長は標準化において非常に役割の重要な役割を果たすポジションだが、なかなか日本からこのポジションを取ることができなかった。が、2022年の9月にITU局長の選挙があり、NTT出身の尾上誠蔵さんが当選した。ITUと連携してやっていくことが非常に重要だし、(世界標準の主導権をとるのに)今までになかったチャンスでもあると思っています。

(BS-TBS『Bizスクエア』 2月24日放送より)