~開発のキーパーソンNTT副社長~川添雄彦氏に聞く、次世代通信「IOWN」とは?

「IOWN」構想の立ち上げから陣頭指揮をとってきたNTT副社長川添雄彦氏に話を伺った。
――「IOWN」の研究はいつから?
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
実はNTTは、かなり昔からこの光の研究やっていて1960年代ぐらいから。光というと、よく思い出されるのは、光ファイバーを用いた情報の伝送の部分。実は「IOWN」はそれだけではなく、情報も光で処理できないかという取り組みを進めてきた。

「IOWN」は革新的な光電融合技術による次世代の通信インフラを目指しています。
現在使われている電気信号を光に変えることで、消費電力効率は100倍。伝送容量は125倍、遅延も200分の1になる。
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
今もそのネットワークの中では光ファイバーという形で光を使っているが、いわゆるインターネットで使われる技術で、ルーターという情報をどちらに届けるかということを切り替える装置は電気で動いてる。

――壁までは光が来ていて、今度はパソコンに繋ぐところまで、光にしようという話?
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
その中も光で処理をしていく世界を実現したいと思っている。チップの中にまで光を入れるとなると、やっぱり光のデバイスも小さくしなくではいけないし、さらに量産化するにはどういう形の技術が要るかというとこも含めて、このレベルまで行くのはちょっと時間がかかるかもしれないが、「データセンタ間接続」は既に実用化が進んでいて商用のサービスとして使われている。

光にする背景には、急増するデータ量がある。インターネットの情報通信料は、2016年と比較して、2030年にはおよそ36倍、2050年にはおよそ4300倍になると推計されている。さらにIT関連の消費電力は、2050年には現在世界で消費されている全ての電力量のおよそ200倍にまで膨らむとされている。
――天文学的にトラフィックが増えて、電力消費も増えている。
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
「IOWN」を発表したのは2019年の5月。遡って2016年ぐらいから、だんだんと予見できた。昔に比べたらその映像を見たり、送るのが顕著になってきた。そうなると、処理するためのネットワークの装置やパソコンも含めて使うエネルギーがまた増えてしまうということになる。
――いろんなサービスも増えている。この予想も上方修正されていく可能性がある?
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
コロナ禍が始まって、見るだけだった映像が、テレワークで発信するという形になり、爆発的に量が増えてしまう。例えばインターネットは、電気のベースにしたネットワークだが、どんどん収容するための装置を増やしたり、光ファイバーを増やしたりということを今やっているが、それだけでは足りない。必ず品質を保証してほしいということが増えてくるとインターネットの仕組みだけでは足りなくなり、光で全部つなぐことによって、品質を保証する必要が出てくる。
――絶対に遅延が起きては困るという、使い方も世の中にはたくさんある。
NTT 川添雄彦 代表取締役副社長:
「ベストエフォート(最大努力)」というインターネット通信を代表する言葉があるが、人の命を預かるようなサービスやアプリケーション、利用の仕方は確実に繋がる、あるいは遅延時間がない方がいいという要求条件が増えてくると思う。














