進展しない拉致問題について、拉致被害者の家族会は、「全ての被害者の一括帰国が実現するなら日本独自の制裁を解除することに反対しない」という、新たな運動方針を決めました。北朝鮮に早期の対話を促すことが狙いです。

【家族会代表 横田拓也さん】
「母 早紀江に、めぐみと再会してもらいたいし、日本のこの地で抱き合ってもらいたいし、そういった気持ちはどのご家族も一緒です。もう苦渋の判断です」

25日に都内で会議を開いた拉致被害者の家族会と支援団体「救う会」。
「親の世代」が存命のうちに拉致被害者全員の一括帰国が実現するなら「日本の北朝鮮に対する独自制裁の解除に反対しない」という新たな方針を決めました。

「一括帰国が実現するのであれば、人道支援をすることに反対しない」との方針から一歩踏んだかたちです。その背景にあるのは親の世代の高齢化です。

【家族会代表 横田拓也さん】
「待ち続けていたその最後のゴールが再会が果たせないといったこれまで再会ができなかった無念を持ったご家族と同じような目に遭わせることはできない。北朝鮮はこの時間的制約があることをしっかりと認識してほしいと思います」

横田めぐみさんの母 早紀江さんは今月で88歳となりました。

【横田めぐみさんの母 早紀江さん】
「なんとかきょう一日を守られて生き延びてほしい。みんなが一緒に元気で帰れることを待っててねと言ってきたんですが、今も変わりなく、それを信じて願っています」

一方で、家族会などは親世代が健在なうちに一括帰国が実現しなかった場合は、独自制裁の強化を求めるとの厳しい姿勢も示しています。
拉致問題をめぐっては今月15日に金正恩総書記の妹、金与正氏が「拉致問題は解決済み」と強調する一方で、「日朝首脳の接触もあり得る」と談話も発表していて、事態の打開に向けた動きがあるか注目されています。