アメリカ大統領選 誰が大統領でも「心配はない」
世界が注目する今年最大のイベント、アメリカ大統領選挙についても聞いてみた。トランプ前大統領が示してきた「アメリカ・ファースト」=自国第一主義は今のバイデン政権の国際協調主義とは対極にあると言える。再び政権の座に就けば少なからず混乱を招くだろう。インドもこの選挙の行方を注視しているに違いない。単刀直入に「アメリカ大統領選に不安はあるか」と質問したところ、大使は即答した。
「どの選挙も重要だ。どの選挙も民意が主張されるものであり、我々はそれを尊重すべきである。我々はそれを評価すべきで、受け入れるべきだ。我々はそれを喜ぶべきだ」
そう答えたうえで「リーダー同士の関係も重要だが他の全ては国同士の関係による。これが非常に重要だ」とも語っている。誰が大統領になっても「心配はない」と力強く言い切っていた。

幅広い質問に情熱的に応じたジョージ大使。私は去年8月にも大使を取材する機会があった。原爆被害に関する展示会だった。主催者は展示会の招待状を核保有国の大使に送ったが、唯一訪れたのが彼だったそうだ。会場では、インド建国の父、ガンジーの言葉が引用された広島平和宣言についての説明を熱心に聞いていた。
「どのような世界を望むか」と問いかけたところ「平和を願います、非暴力による」と、この時は静かな声で、私の目をしっかりと見て答えてくれたことが印象に残っている。不確実性が増す国際社会でインドはどのように振る舞っていくのか。野心も垣間見せる“大国”の行方をこれからもウォッチしていきたい。