中国を抜いて人口が世界最多となったとされるインド。経済成長率も中国を追い抜き、去年は主要20か国・地域の首脳らが集まるG20サミットで議長国を務めるなど、国際政治の舞台で着実に存在感を高めている。JNNとの単独インタビューに応じたシビ・ジョージ駐日インド大使は「インドはチャンスだ」と強調した。

「私はインドのファースト・セールスマン」

着任して1年以上が過ぎたジョージ大使。この間、40を超える都道府県を訪れている。なかでも広島には「平和と非暴力の象徴」であるマハトマ・ガンジーの胸像を寄贈した時やG7 サミットの準備などでの日帰りも含め、何度も訪れているそうだ。

部屋に入ってきた大使は満面の笑顔で私たちと握手を交わし、インタビュー中もフレンドリーな雰囲気で身振り手振り、一言一言に感情を込めて答えていた。最も印象的だったのは「私はインドのファースト・セールスマン」という言葉だった。彼はにこやかでパワフルなセールスマンなのだ。

インド・ムンバイ

国連が去年4月に公表した報告によると、インドの人口は去年半ば時点で14億2860万人と予想され、これまで人口が世界で一番多かった中国を290万人上回った。

また今年1月のIMF(国際通貨基金)の発表によると、インドの実質GDPの成長率は、2024、2025年度ともに6.5%と高くなる見込みだ。インフラなどの公共投資の増加による内需の拡大や観光業の回復などが成長をけん引しているとみられている。IMFはまた、2026年には日本を抜いて名目GDPで世界4位になる可能性があるとしている。

「日本はインドが10億人以上の人口を抱える国であり、10億もの機会があることを認識すべきだ」と大使は訴えた。インドとの経済的な連携は日本にとって重要で「インドはチャンス」というわけだ。

欧米は製造・調達機能を担う「世界の工場」として中国を頼っていた。しかし、経済安全保障の分野を含む米中対立などを背景に、中国依存からの脱却は重要なテーマとなっている。一方のインドは人口増に伴う市場の拡大とともに労働力も増え、人件費を抑えながらのモノづくりも期待できる。インドは次の「世界の工場」としても注目されている。