名字を変えると何が不便? 選択夫婦別姓

小川彩佳キャスター:
確かに選択的夫婦別姓を巡っては、このところ世の中の変化を感じます。

藤森祥平キャスター:
「夫婦同姓」のデメリットは、▼銀行口座など改姓手続きが煩雑 ▼パスポート使用時に支障 ▼例えば研究論文などで姓が変わってしまうと、継続的なキャリアへの影響が出てしまうかもしれません。

小川キャスター:
青野さんはご結婚をされて奥様の姓を名乗ることになりましたが、どのようなことがありましたか?

「サイボウズ」社長 青野慶久さん:
まさに最初は改姓手続きですね。健康保険証、運転免許証、銀行口座など、クレジットカードについては、改姓したあとに、インターネットのショッピングサイトの姓も変えなくてはいけません。もうドミノ倒しのように手続きが発生しました。

そして手続きが一段落すると、今度は「姓の使い分け」が発生します。私は仕事では旧姓の「青野」で働いています。しかし場合によっては旧姓が使えるところと、使えないところがありますので、印鑑は結婚後の姓と旧姓の2つを用意しています。契約書にサインをするときにも、こちらは旧姓を使わないでくださいなど煩雑ですね。

小川キャスター:
私は離婚をしているので、2度もその煩雑さを経験しています。名義変更のために有給休暇が欲しくなるほど大変でした。

藤森キャスター:
政府は「旧姓の通称使用」の拡大を後押ししてきました。例えば医師や弁護士など、国家資格で旧姓の使用を可能にしました。また免許証・パスポートなどで旧姓を併記することも認めました。

ただこれは日本国内では通じるのですが、海外ではダブルネームということで、不正を疑われることもあるため、なかなか浸透していないようです。

青野慶久さん:
そうですね。海外ではパスポートとクレジットカードがIDになりますので、全く通用しません。

藤森キャスター:
これまでにも夫婦同姓でなければならないのは憲法違反だと訴える裁判がありました。2015年・2021年の最高裁の判断は、『「選択的夫婦別姓」を認めないという考え方は、合憲である。ただし、選択的夫婦別姓制度のあり方は、国会で論ぜられ判断されるべき事柄である」と指摘を続けてきました。

また2月13日には経団連の十倉雅和会長が選択的夫婦別姓制度について、「なぜ長い間、棚ざらしになっているのかよく分からない。女性の働き方や多様な改革をサポートする、一丁目一番地としてやっていただいたらいい」との提言を政府に提出する方針を示しました。

青野慶久さん:
これは初めての動きだと思います。今まで日本はジェンダーギャップが大きい、原因は政治と経済だと言われていました。ところが経済が動き始めたわけですよね。あとは政治だけですね。

小川キャスター:
ビジネス上の不利益が出始めているということですか?

青野慶久さん:
そうですね。例えば女性が海外出張に行く際、ホテルに泊まれなかった、飛行機に乗れなかったなどという話が耳に入っているのではないでしょうか。

小川キャスター:
そして2月22日、小泉龍司法務大臣は選択的夫婦別姓について「1996年と2014年に法案提出を準備したが、当時の政権・国会内に様々な意見があり、提出には至らず」と述べました。

この様々な意見というのは、自民党の保守派議員からの「家族の一体感が失われる」「子どもへの悪影響が懸念」などの反対意見だったそうです。

プチ鹿島さん:
保守については様々な考え方があると思います。例えば伝統をずっと守るのも保守、また、その時々で不具合や不都合があったり、困っている人がいたら、みんなが生きやすくなるように少しずつ修正するという、寛容の精神も保守だと思います。

選択的夫婦別姓は、ただ選択肢が増えるだけですよね。助かる人、喜ぶ人がいるという選択肢はとても良いと思います。

青野慶久さん:
選択的夫婦別姓が入ると何が起きるかわからないと不安に思う方もいるかもしれませんが、とても簡単なことで、名前を変えずに結婚する女性が増えるだけなんです。そんな大したことは起きないと思います。日本以外の国では実証済みですしね。

選択的夫婦別姓について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『選択的夫婦別姓』について「みんなの声」を募集しました。

Q選択的夫婦別姓をどう思う?
「賛成」…53.7%
「どちらかといえば賛成」…21.2%
「どちらかといえば反対」…10.0%
「反対」…11.1%
「その他・わからない」…4.0%

※2月22日 午後11時19分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません