島の伝説として語り継がれる場所

続いて向かったのは洞寺公園。遊歩道の先にも”いにしえの記憶”を物語る空間、鍾乳洞がありました。

琉球王朝時代、那覇の僧侶が島流しにあい、この中で読経三昧の余生を過ごして亡くなったという伝説もある場所で、島では拝所として今も大切にされています。

粟国村観光協会 四方正良さん
「家の門の上にはシーサーじゃなくて、こうやってサンゴであったり貝殻が置いてあるところはたくさんあります」

魔除けの意味が込められたサンゴは、旧暦3月3日の浜下りで拾ってくるのだそうです。集落の十字路に置かれている魔除けの石も、海辺から拾ったもので、島の風習と自然が深く関わっている様子がうかがえます。

最後に、水不足と闘ってきた痕跡を見せてもらいました。

棚原宏明さん
「あんなして、古いのが」

家の敷地に残されていた大きな石の器。雨水をためる容器『トゥージ』です。

棚原宏明さん
「これ、歴史だから、ずっと残している。100年以上前、最低でも100年以上前。一番大きいのは飲料水、下に行くと、野菜洗ったり」

上原一郎さん
「トゥージのそばには必ず、木があるんですよ。木から雨水をとって貯める。天水(雨水)を貯めるというふうな、そのぐらい貴重な水だったんですよ」

葉っぱについた雫さえも無駄にできなっかた粟国島。水の苦労は海水を淡水化する施設ができるまで続きました。

粟国村民(1991年の取材)
Qこちらでは、2つ蛇口があるんですが、これはどう違うんでしょうか
「これは淡水化施設からの水道水ですね。これが天水。天水も両方分けて使っています」

粟国島のいにしえの記憶をたどる旅。壮大で厳しい自然の中で生きてきた先人の知恵に出会いました。