新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となった祇園祭・山鉾巡行。2020年は山鉾の代わりに徒歩で巡行し、2021年は一部の山鉾建てと順番を決めるくじ取り式が行われました。そして今年、ついに3年ぶりに山鉾巡行が実施されましたが、そこにあった苦労や祇園祭にかける人々の思いに密着しました。

2年のブランクある新米の車方棟梁


 3年ぶりに行われた祇園祭のハイライト『山鉾巡行』。新型コロナウイルスの影響で去年・おととしと中止になりましたが、“伝統を引き継ぐ”という思いから今年は開催が決まったのです。

 祇園祭初日の7月1日。祭りの無事を祈願する神事の場にいたのは函谷鉾の車方・長谷川恒雄さん(62)。

 (函谷鉾・車方 長谷川恒雄さん)
 「3年ぶりというのと私が新米だというのと、プレッシャー山盛り。喜びも山盛りなんやけど」

 車方は、重さ10トンを超える鉾の進行を調整する、いわば司令塔です。

 しかし長谷川さんは3年前に車方の棟梁になったばかり。2年間のブランクがある新米の棟梁が山鉾巡行の伝統を守らなければならないのです。

 長谷川棟梁は40年前、友人に誘われたのがきっかけで祇園祭の虜になりました。普段は建材販売会社の社長をしていますが、毎年祭りが近づくと職場に祭りの道具を持ち込み、仕事は手につかないといいます。

 (函谷鉾・車方 長谷川恒雄棟梁)
 「(Q他の従業員からはどう見られている?)『祭りバカ』につける薬はないと言われています」