「ルネサンスの理想都市」へと繁栄した「フェラーラ、ルネサンスの街とポー川デルタ」
デルタとは元々はギリシャ文字のひとつで、△と三角に表記されることから転じて三角州も意味するようになりました。三角州は、川の運搬した土砂が河口に堆積して生まれた三角形の土地のことです。実は、「〇〇・デルタ」と名前にデルタが付いている世界遺産がいくつもあります。

まずはイタリアの文化遺産「フェラーラ、ルネサンスの街とポー川デルタ」。

ポー川はイタリア最長の大河で、源流のアルプスからアドリア海の河口まで約650キロもあります。その河口に出来た巨大な三角州がポー川デルタで、東京23区がすっぽり入る広さ。

16世紀以降、この湿地だらけの三角州を農地として開発したのが、フェラーラ公国です。番組「世界遺産」で撮影したのですが、現在の海岸線より10キロも内陸に巨大な水門が残っていました。

かつてはここが海岸で、満ち潮のときは水門を閉めて海水が三角州に浸水するのを防ぎ、引き潮の時は水門を開けて湿地から排水。三角州の湿地を埋め立てて農地へと改造していったのです。

公国はアドリア海の海水を利用して塩田も作り、ポー川を使って交易し大いに栄えました。その都だったのが公国と同じ名前の街、フェラーラです。

ポー川の支流沿いに築かれ、かつては川の水を引き込んだ濠と城壁に囲まれていました。ここも撮影したのですが、やはり濠で囲まれた城など、ドローンで上空から撮影すると見応えのある建物が残っています。

面白いのはディアマンティ宮殿。白い大理石で作られた小さなピラミッド状の四角錐が、約8500個も壁面を飾っているのです。

その特徴から、ダイアモンドを意味するディアマンティの宮殿と名付けられました。フェラーラは「ルネサンスの理想都市」とも呼ばれており、それを象徴する建物でもあります。