新潟県阿賀野市でおよそ80年前の新品同然のランドセルが発見されました。素材は革ではなくなんと「紙」です。一体、なぜ紙のランドセルが作られたんでしょうか?

ランドセルが見つかったのは阿賀野市で102年続く印刷会社「綿善」です。

【記者リポート】「阿賀野市内の印刷会社の倉庫で見つかったランドセルですが、こちらにありました。約80年前のランドセルです。展示されているのは赤・茶色・黒色のランドセルです。触ると小さいんですけどツヤがあり硬いですね」

このランドセル、よーく見ると革とはちょっと違う質感が…。それもそのはず、なんと厚い紙に樹脂を染み込ませたとみられる紙製のランドセルなんです。

10年ほど前に、営業担当の坂井さんが偶然、発見したそうです。

【綿善 酒井博さん】「別件で倉庫に行って何気なくこう開けたら白い紙に包まれたものがあったんで、開けてみたらランドセルでした」

従業員の母親などの証言から約80年前に作製された可能性が高く、商品として置いていたのではないかと坂井さんは推測しています。

【綿善 酒井博さん】「当時のうちはノートとか製作、製造していた会社だったので文具関係ってことでおそらく仕入れて、そのままデットストックになって何十年も倉庫に入ったままだったってことじゃないですかね」

ではどこで製造されていたものなのでしょうか?

【安達紙器工業社長 安達眞知男さん】「このチューリップ絵以外は全ての溝の形状や部品が同じだったので、多分私どもの方で作ったものであろうと考えます」

こう証言するのは長岡市で紙製品を制作する「安達紙器工業」です。大きさや型など綿善で見つかったランドセルとほぼ同じものがあるといいます。

なぜ紙で作ったのかというと…

【安達紙器工業社 安達眞知男さん】「ああいう形で残っているのは珍しい。戦時中ですので鉄だとか革だとかは軍事用品に優先されるので、昭和20年を挟んで何年か作っていたんだろうと」

安達紙器工業がランドセルを作っていたのは1940年代後半までで当時、阿賀野市の「綿善」とも取引があったとみられます。

偶然、見つかった紙製のランドセル。戦時中の貴重な歴史資料として多くの人に見てもらいたいと綿善の酒井さんはいいます。

【綿善 酒井博さん】「せっかくだから会社で展示して見てもらえればなっていう」

倉庫にはまだ数十個のランドセルがあり、博物館などから声があれば協力したいということです。