米銀最大手JPモルガン・チェースは、AIクラウドスタートアップのボルタ・インフラ・ホールディングスのために進める計50億ドル(約7890億円)のレバレッジドローンの販売で、約11%の利回りを投資家に提示している。AIブームの資金調達手段として利用が広がっている高リスク債務市場で、借り入れコストとして最高の部類に入る。

事情に詳しい関係者によると、このローンは、指標金利に6.25-6.5ポイントを上乗せした金利で、額面1ドル当たり97-98セントの割引価格で投資家に提示されている。ブルームバーグの試算に基づくと、現在の指標金利の水準では利回りは約11%に相当する。

AIモデルの稼働に必要な専用半導体の購入には多額の資金が必要だ。投資適格級企業の支援を受ける企業は高格付け債市場で資金を調達し、借り入れコストを抑えることができる。

一方、こうした提携先を持たない小規模でリスクの高い企業、特に半導体やその他のAIインフラへのアクセスを貸し出す、いわゆるネオクラウド企業は、よりコストの高いレバレッジドローン市場に資金調達先を求めている。

ただ、これまでの取引は借り入れコストが一段と低かった。ボルタの今回の取引は、半導体購入向け融資にとどまらず、データセンターを支える債務も含んでおり、総合利回りでは過去最高の水準となる。

ボルタと、取引を主導するJPモルガンの担当者はコメントを控えた。

事情に詳しい複数の関係者によれば、今回の調達資金はノルウェーのデータセンター複合施設に充てられる。同施設はボルタがデータセンター運営のビットコイン採掘企業ビットディア・テクノロジーズ・グループと共同で運営し、アンソロピックはすでに同施設のコンピューティング能力を利用する6年間の契約を締結している。

ウォール街は、2030年末までに約5兆ドルを要すると見込まれるAIインフラ整備を強力に後押ししている。ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、企業は過去2年間にデータセンターやその他のAI投資向けに約6250億ドルを借り入れている。

AIローン

特筆すべき点として、今回の取引には格付けが付与されていないと関係者の1人が明らかにした。レバレッジドローン市場では異例で、通常はこの種の債務の最大の買い手であるローン担保証券(CLO)の組成者が融資債権を購入できなくなる。

債務パッケージは津立つのトランシェに分かれ、「ボルタ・タイダル・ホールディングス(Volta Tydal Holdings S.à r.l.)」という特別目的の法人が借り入れ主体となる。

関係者によると、37億ドルの半導体購入向け融資は、米半導体大手エヌビディア製の画像処理半導体(GPU)約3万6000基の購入に充てられる。13億ドルの融資は、データセンターのリース契約に伴う信用状の現金担保に充てられる。資金は口座に留保され、データセンターを利用するためビットディアに支払うリース料に充当される。

関係者の1人によれば、今回の取引は「ストリップ」と呼ばれる仕組みで、参加する貸し手は両方のトランシェの一部を購入する必要がある。債務は全額を分割返済する仕組みで、融資は時間をかけて返済される。

関係者の話では、融資に関する貸し手向け説明会は米東部時間5日午前11時(日本時間6日午前0時)に開かれた。融資参加の申込期限は10月14日。

原題:JPMorgan Dangles 11% Yield on Volta’s $5 Billion AI Loan Sale(抜粋)

--取材協力:Charles E Williams、Natalie Harrison.

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