暗号資産(仮想通貨)を大量保有する企業の従業員報酬に投資家から厳しい目が向けられている。株主の損失は計約500億ドル(約7兆8000億円)に上っている。

昨年活況を呈した暗号資産投資で、個人投資家と機関投資家はいずれも痛手を負った。今は株主として経営に圧力をかけ、損失を抑えようとしている。

注射器メーカーから暗号資産ソラナの購入企業に転じたスカイAIは先週、数百万ドル規模の従業員向け株式報酬制度案を巡って追及を受けた。東京を拠点にビットコインを買い進めるメタプラネットは、約2億2000万ドル相当の新株予約権の一部を取り消し、SNSで広がった批判の沈静化を図った。

背景には、「デジタル資産トレジャリー(DAT)」企業の株価が、保有する暗号資産の価値を大きく下回っていることがある。分析会社アルテミスによると、ビットコインとイーサに投資する上場DAT企業の時価総額は完全希薄化後で現在約900億ドルと、ピークを約40%下回る。

非営利団体ベター・マーケッツで証券政策を担当するベン・シフリン氏は「実質的な用途のない高リスクの暗号資産に投資する戦略を採る経営陣は、その戦略がいずれ失敗した際に報酬を受けるべきではない」と述べた。

DAT関連株の下落は、市場全体の下げとおおむね連動する。最大の暗号資産ビットコインは、昨年10月6日に付けた最高値12万6000ドル超から約40%下落した。アジア時間18日の取引では7万6400ドル付近で推移している。

強まる監視

Photographer: Source: Bloomberg

スカイAI(旧シャープス・テクノロジー)は昨年、大手暗号資産ファンドから4億ドル超を調達し、ソラナを保有するDAT企業に転換した。株価は2025年8月の取引完了以降、90%近く下落している。

競合するソラナ保有企業フォワード・インダストリーズは6月、スカイAIの株価に20%上乗せした価格での買収を提案したが、成立しなかった。フォワードは先週の声明でさらに圧力を強め、次回の年次株主総会で株式報酬制度案に反対票を投じるようスカイAI株主に求めた。株主の承認を得れば、スカイAI株の7.2%を従業員30人向けに確保する。現在の株価で約400万ドル相当となる。

スカイAIの広報担当者は、この案は同業DAT企業の株式報酬制度の中央値を下回ると述べるとともに、経営幹部に付与されるのは一部にとどまると説明した。

メタプラネット騒動

メタプラネットへの批判は買収を狙う企業ではなく、ネット上の多数の個人投資家から噴出した。株価は25年6月の高値から84%下落している。

焦点となったのは複雑な報酬制度だった。SNSでは、一般株主の持ち分を希薄化させる一方、経営陣に利益をもたらしたとの批判が出た。

ビットコイン会議に出席したサイモン・ゲロヴィッチCEO(ラスベガス、2025年)

メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ最高経営責任者(CEO)は11日、批判を受け、制度の見直しに動いた。

「一つ、ますます明確になっていることがある。今回の議論の中心となった報酬制度を設けた当時と、今の当社はもはや同じ会社ではない」とX(旧ツイッター)に投稿。従業員向け報酬プールに充てる予定だった新株予約権の一部を取り消すなど、報酬制度を見直した。

ゲロヴィッチ氏はさらに「経営陣へのインセンティブが株主価値の長期的な創出と適切に一致する新たな報酬制度を構築するため、独立した外部専門家と協議している」と説明した。

ブルームバーグ・ニュースがコメントを求めたところ、ゲロヴィッチ氏は自身のX投稿を参照するよう回答した。

法律事務所グッドウィン・プロクターの弁護士3人が執筆し、ハーバード・ロースクールが今週公表した文書によると、DAT企業の評価額が低迷し、投資家が事業モデルに疑問を抱く状況が続く限り、経営陣や取締役会は株主アクティビズムのさらなる活発化に備える必要がある。

文書では「こうした圧力により、株主アクティビストにとってますます魅力的な環境が生まれている」と指摘した。

原題:Shareholders Revolt After Crypto Hoarders’ $50 Billion Crash (1)(抜粋)

--取材協力:アリス・フレンチ.

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