(ブルームバーグ):富士フイルムホールディングスは、AI向けデータセンターへの投資ブームで急増する需要を取り込むため、先端半導体の製造に使う主要材料の生産を拡大している。
同社は今月、大分県に新たな製造棟を開設した。化学機械研磨(CMP)後にウエハー上の微粒子や残留物を除去する薬液、CMP後洗浄剤の生産を拡大する。今後、市場が急速に拡大すると予想しており、70億円を投じて生産能力を3倍に引き上げた。
当初は今回の投資で大分での生産能力を約4割増強する計画だったが、AI半導体向け需要が急拡大したことを受けて内容を見直した。投資額は据え置きながら、増強幅を3倍に拡大したという。
半導体材料事業では、CMPスラリー、CMP後洗浄剤、フォトレジスト、ポリイミドなど幅広い製品で、先端製品の開発や生産能力の増強を進めてきた。同事業は社内で最も成長率が高く、4-6月期の売上高は前年同期比25%増加した。
富士フイルムHDは、半導体材料とバイオ医薬品を中核事業に育てる一方、かつて会社の柱だった採算性の低い複合機事業から段階的に軸足を移している。富士フイルムHD株は、他の半導体材料メーカーに比べて出遅れており、複合機部門のコスト上昇などで4-6月期業績が市場予想を下回ると、株価は急落した。
苦戦する複合機事業については、分離・独立(スピンオフ)を検討している。同事業は現在もグループ全体の売上高の35%を占める。富士フイルムHDは、同部門を別会社として上場させることで、新たに注力する分野への投資判断をより迅速にできるとしている。
半導体材料事業では、先端半導体への需要を追い風に成長が続くと見込む。富士フイルムの岩﨑哲也取締役によると、現在は35年の市場予測を基に、大手半導体メーカーと研究開発や生産能力の増強について協議している。経済安全保障上の問題などで成長ペースが鈍る可能性はあるものの、「半導体自体の成長で今の需要拡大が終わることはない」との見方を示した。先端半導体市場の成長を取り込み、今後も適切な投資を続ける考えだ。
こうした需要拡大を取り込むため、材料のラインアップを広げ、回路形成材料やCMP関連材料、先端パッケージング材料など、半導体製造の幅広い工程に供給できる体制を整えている。新たな化学品の開発では、AIを活用し、従来は数年かかることもあった配合の特定期間を数カ月に短縮するツールも開発した。
富士フイルムHDは、写真フィルムに依存していた事業構造を転換し、ヘルスケアやイメージング、高機能材料などへ事業を多角化してきた。事業転換の成功例として知られ、その一環で参入した化粧品も世界で人気を集めている。投資家は、低採算の複合機事業を切り離す一方、高収益ながら競争が激しくなる半導体材料事業の成長を加速し、再び事業構造の転換に成功できるか注目している。
(第3段落を追加、第7段落に加筆しました)
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