近年、話題となっている若者の「酒離れ」ですが、お隣の中国でも同じ状況のようです。中国では、ある伝統的な酒が苦境に立たされています。
記者
「こちらの工場では、手作業によって白酒づくりが行われています。あたりには芳醇な香りと熱気が漂っています」
蒸し風呂のような暑さの中、従業員が作っているのはコーリャンなどの穀物を原料とする中国の蒸留酒「白酒」です。アルコール度数の高い酒で、およそ1000年前の宋の時代から宴会や接待に欠かせないものとして親しまれてきました。
1972年の日中国交正常化交渉の際には、当時の田中角栄総理と周恩来首相が飲み交わしたことでも知られています。
貴州省仁懐市の茅台鎮。山間にあるこの小さな街では、どこを見ても酒、酒、酒。政府の許可を得ていない所も合わせると、およそ3000の白酒工場があると言われ、中国屈指の「酒の都」として知られています。ところが…
記者
「こちらは白酒通りと呼ばれる観光地ですが、いまは多くの酒店が閉店していて、空きテナントとなっている場所も多くみられます」
数少ない営業中の店を訪ねても…
酒店の従業員
「最近観光客は少ないです。1日に1人来るかどうか」
「(売り上げは)半分以下に減っています。ほとんど家賃を払うため、働いているようなもの」
円卓を囲んで乾杯。グラスに注がれた白酒を一気に飲み干します。いま、こうした酒の席が敬遠されているといいます。
夕食時で賑わう北京市内のレストラン。若者たちが飲んでいるのは…
「コーラとスプライトを飲んでいます」
「(白酒は)飲みづらくて辛口だから」
健康志向の高まりなどから、若者を中心にソフトドリンクや低アルコールの酒を好む傾向が強まっています。
さらに白酒離れに拍車をかけるのが「禁酒令」とも呼ばれる政府による厳しい会食制限です。汚職撲滅を掲げる習近平指導部は、去年5月に公的な宴会での酒の提供を禁止。接待に欠かせなかった白酒の需要は落ち込みました。
生産量は、この10年で3割以下にまで減少。工場の倒産も相次いでいて、生き残りをかけたメーカー側も必死です。
およそ500人の従業員を抱える白酒メーカー「漢台酒業」は、この機にあえて生産量を増やすことで、メーカーとしての「存在感」を高めたい考えです。
漢台酒業 呉雷 営業マネージャー
「白酒産業は飲食業や民宿など、白酒を懸け橋として、様々な分野と連携していく必要があります」
また、業界最大手のメーカーは若者を取り込もうと、白酒を使ったアイスクリームを開発。貴州省政府も酒造りを体験できる宿泊施設などを整備することで、白酒の消費促進を目指す計画を発表しています。
漢台酒業 呉雷 営業マネージャー
「最も重要なことは白酒を世界に広め、全世界の人々に愛してもらうことです」
変わりゆく中国の酒を取り巻く環境。「伝統の酒」を守るため、あの手この手の試行錯誤が続いています。
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