(ブルームバーグ):12日の原油相場は前日終値を挟んでもみ合い。主要なエネルギー機関が相次いで発表したデータを見極める動きが広がる一方、ホルムズ海峡を通じたエネルギー輸送の再開に向けた交渉も続いている。
代表的な米国産油種であるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル=83ドル近辺で前日比ほぼ変わらず。過去4営業日では10%上昇していた。原油先物はホルムズ海峡の再開に向けた動きを巡る報道に敏感に反応しており、合意が近いとの楽観的な見方と、進展が停滞しているとの観測の間で売り買いが交錯している。
米国とイランが互いに姿勢を硬化させる中、トランプ大統領は米国が「ホルムズ海峡を完全に掌握している」と主張した。一方、パキスタンは両国間の覚書(MoU)の期限が延長される可能性があると明らかにした。
米エネルギー情報局(EIA)が在庫統計を発表すると、原油相場はこの日の安値に下げた。先週の米原油在庫は1740万バレル増加。業界団体の推計のほぼ2倍だった。増加幅は3年余りで最大となり、輸入も2024年11月以来の高水準に増加した。
一方、ディーゼル油の輸出は日量約200万バレルと過去最高を記録し、先物価格を押し上げた。
市場情報会社クプラーの米州担当首席石油アナリスト、マット・スミス氏は「原油輸出の低迷が続く中、輸入が大幅に増加したことで、原油在庫は過去2番目の大幅な積み増しとなった。増加分の大半はメキシコ湾岸で生じた」と述べた。
ただ、在庫の大幅増加でも、イランとの戦争による深刻な供給減を米国産原油で補えるかどうかを巡り、懸念は完全には払しょくされなかった。国際エネルギー機関(IEA)が12日に発表した月報によると、エネルギー供給への打撃が続く中、今四半期の世界の原油在庫は、従来予測の2倍を超えるペースで急減する見通しだ。IEAは原油市場では日量180万バレルの供給不足に陥っていると指摘した。
北海ブレント原油は今年に入って約50%上昇し、一部の燃料価格はさらに大幅に値上がりしている。ディーゼル油もロシアとウクライナの戦争の影響で押し上げられている。EIAの「短期エネルギー見通し」の推計によると、イランとの紛争に伴う原油供給の混乱は2027年末まで日量約60万バレル規模に達する。
ホルムズ海峡を通航していることが確認できる船舶はごくわずかとなっているが、原油の一部はペルシャ湾から運び出されている。多くの場合、タンカーは位置情報を発信するトランスポンダーを切って航行している。米エネルギー省のライト長官はソーシャルメディアへの投稿で、米軍の支援を受けて日量約900万バレルが同海峡を通過していると述べた。
原題:Oil Wavers as US Stocks Rise With Focus on Hormuz Deal Progress(抜粋)
--取材協力:松山かの子、Yongchang Chin、Paul Burkhardt.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.