(ブルームバーグ):世界情勢が一段と緊迫する中、ファンドマネジャーの間で、欧州債がより安全な投資先として注目されている。
UBSアセット・マネジメントとギネス・グローバル・インベスターズはドイツ国債を買い進めているほか、ベアリングスは米国債を売却し、イタリアとスペイン、フランスの国債への投資を拡大した。アビバ・インベスターズもユーロ圏の国債を「オーバーウエート」とすることが魅力的だとしている。
ベアリングスの投資マネジャー、ブライアン・マングウィロ氏は「米国債や英国債の配分を減らし、欧州へ資金を移す十分な理由がある」と述べ、「より安定した制度・政治環境と低成長、低インフレを求めるのであれば、行き着く先は欧州だ」と指摘した。
ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長のインフレ抑制に対する信認が疑問視される中、米国債は投資家の支持を失いつつある。
一方、英国では今後の歳出計画を見極めるため、次の予算内容が注目されている。日本国債は利回りが数十年ぶりの高水準へ上昇する中でボラティリティーが拡大。円相場を下支えするための市場介入も、一時的な効果にとどまり得る。
イラン戦争と、それによって引き起こされたエネルギー危機を受けた世界的な債券売りで、ユーロ圏各国の国債も値下がりしている。それでも一部の投資家は、財政・金融政策の見通しは日米英より予測しやすく、市場価格にもより適切に織り込まれているとみている。
日本では4日に実施された10年国債入札の需要が2025年5月以来の低水準となった。米30年国債の利回りは先週、2007年以来の高水準まで上昇し、ドイツ国債をアンダーパフォームした。両国債の利回り格差は1年ぶりの大きさに拡大した。
今年の金利見通しの修正を促した主因は原油価格だ。ただ、それ以外の要因も投資家に長期債保有への警戒感を抱かせている。
防衛費の増加や高齢化への対応に伴う支出拡大が各国財政への圧力を強める一方、地政学的混乱や気候変動、貿易障壁がインフレを高止まりさせる可能性があるためだ。
ECBの積極性
米国債を巡る見通しは、FRBがどのように物価安定を回復させる考えなのかという疑問から不透明感が増している。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、政策金利が据え置かれたが、ウォーシュFRB議長の主要課題を巡る曖昧な姿勢は、インフレ率を2%目標へ戻すことへのコミットメントに疑念を生じさせた。
さらに、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、同議長がFOMC会合の開催頻度を減らすことを検討していると報じ、不安材料が加わった。
英国ではバーナム首相の税制・歳出計画が10月28日に政権発足後初の予算案で示されるまで、投資家は慎重姿勢を維持する公算が大きい。同首相は、防衛費の増額や成人向け社会福祉サービスの財源確保という大きな課題に直面している。英30年国債の利回りはすでに先進国で最も高い水準にある。
欧州も財政面の圧力を抱え、中東紛争に起因するエネルギー価格の変動が続く影響を受けている。それでも一部投資家は、欧州中央銀行(ECB)がこうした影響への対応で他の主要中銀より積極的に動くとみている。
ギネス・グローバルのポートフォリオマネジャー、クレイグ・ヴェイジー氏はECBについて、「成長が弱まる可能性があってもインフレ抑制をより積極的に進める傾向があり、その低成長は債券にとってプラス」だと語った。
UBSアセットのグローバル国債・為替責任者ケビン・ジャオ氏によると、市場は欧州で過度な金融引き締めを織り込んでおり、ドイツ10年債利回りが先月3%を上回った局面は買いの好機だった。
同氏は「欧州にはインフレの問題はない。そこが英国や米国との違いだ」と述べ、ドイツ国債を魅力的なディフェンシブ投資先と位置付けた。「長期的に見れば、欧州は低成長・低インフレであり、しかも極めて信頼性が高く独立性のある中銀を持つ」と説明した。
もっとも、ユーロ圏では国ごとに資金調達需要や政治リスクが大きく異なるため、欧州であれば安全資産投資ということにはならない。投資家は世界の他地域ではなく欧州を選んだ後も、どの国の国債を買うかという難しい判断に直面する。
JPモルガン・アセット・マネジメントのキム・クロフォード氏は、イタリア長期国債への投資を減らした。メローニ首相の連立政権にほころびが見え始めており、9月の予算交渉がリスクになるとの見方が背景だ。
その一方で、ドイツ10年債より約80ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)高い利回りで推移するフランス10年国債は投資妙味が生じ得るとみている。「欧州は魅力的だが、値上がり余地は英国ほど大きくない。欧州では政策金利がすでに中立水準にある一方、英国ではなお景気抑制的な水準にある」と同氏は話した。
原題:Wary About US and Japan, Bond Traders Are Flipping to Europe (1)(抜粋)
--取材協力:Georgia Hall、James Hirai.
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