(ブルームバーグ):外国・国際通貨当局(FIMA)向けにドル資金を供給する米連邦準備制度のレポファシリティーは、日本が円相場を下支えするために米国債を売却する事態を回避する可能性がある。一方で、この制度を長期間利用すれば、市場が米国と日本の円高誘導への決意を試す動きにつながる恐れがある。エバコアISIはこのような見方を示した。
同ファシリティーは、外国の当局などが保有する米国債を市場で売却してドル資金を確保するのではなく、保有米国債を担保にドルを調達できるようにする制度だ。2020年の新型コロナウイルス禍で、米国債市場を過度に混乱させることなく流動性を確保できるよう創設され、21年7月に恒久化された。
ただ、この制度には制約もある。1取引先当たりの利用額は1日600億ドル(約9兆4300億円)が上限で、日本が7月30日だけで実施したと推計される円買い介入額をわずかに上回る程度にとどまると、エバーコアISIのストラテジスト、マルコ・カシラギ氏とリュー・ガン氏は指摘した。
両氏は今月3日付の顧客向けリポートで、継続的な為替介入への有効性は限定されるほか、米国が大規模な為替介入を繰り返し容認する意思があるのかという疑問も生じるとの見方を示した。
「利用額に上限がある連邦準備制度のレポファシリティーへの注目が逆効果となるリスクがある」と両氏は指摘した上で、円高を実現するために大規模な米国債売却が必要となった場合、「市場が米国と日本の円高支援へのコミットメントを試す動きにつながりかねない」と論じた。
このレポファシリティーは通常、利用実績が極めて少ない。米連邦準備制度理事会(FRB)の最新データによると、7月29日までの1週間の利用残高の平均は約600万ドルだった。直近でまとまった利用があったのは2月初めで、その額は30億ドルだった。
片山さつき財務相は3日、7月31日の外国為替市場で日米が協調介入を実施したことを確認し、今後はこの制度を活用する方針を示した。ベッセント米財務長官はX(旧ツイッター)への投稿で、この対応を支持するとともに、制度の利用枠拡大を後押しする考えを示した。
制度変更の場合、連邦公開市場委員会(FOMC)の外国通貨小委員会の承認を経て実施できるが、同小委員会は予定する変更についてFOMC全体に報告することが義務付けられている。
エバコアISIのストラテジストは、この制度は恒常的な資金調達手段ではなく、短期的な流動性の安全網として設計されているため、借り入れを継続するには借り換えを繰り返す必要があると指摘した。
また、この制度は「比較的コストが高い」とし、提供金利が3.75%である点に言及した。一方、7日物資金の調達コストは1週間物オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上乗せした水準となっている。
両氏によれば、連邦準備制度は意図的にこれらの金利を民間のレポ市場での資金調達コストより高く設定している。これは、この制度が通常時の資金調達や継続的な為替介入ではなく、市場がストレス局面にある際の利用を想定していることを示している。
原題:Japan’s Use of Fed Tool Could Test Yen Resolve, Evercore Says(抜粋)
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