米財務省は、円買い介入にドルではなくユーロを利用している可能性がある。自国通貨であるドルを弱めているとの印象を与えないようにし、強いドル政策への疑念を招くことを避ける狙いがあると、ストラテジストらはみている。

ニューヨーク連銀は7月31日、少なくとも米大手銀行2行に対し、ユーロに対する円相場のレートチェックを行うよう要請した。事情に詳しい2人の関係者がブルームバーグに語った。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先週、事情に詳しい関係者の話を引用し、ニューヨーク連銀が米財務省の求めに応じ円を買うためユーロを売却したと報じた。

クレディ・アグリコルCIBのシニアストラテジスト、デービッド・フォレスター氏(シンガポール在勤)は、「米国はドルを売却しているようには見られたくなかったのだろう」と述べ、「米国は強いドル政策を維持しており、自国通貨を弱めて競争上の優位を得ようとしていると受け取られることは望んでいない。それは外国為替に関する20カ国・地域(G20)の合意にも反する」と指摘した。

ユーロを経由して円買い介入を行う今回の手法は、これまで米国が市場介入を実施した際に一般的に採用してきたドルを直接用いる方法とは異なる。

国際決済銀行(BIS)が3年ごとにまとめる最新の中央銀行サーベイによると、2025年4月時点で1日当たりのトレーディングが9兆6000億ドル(約1500兆円)規模の外為市場において、ユーロは約29%のシェアを占め、世界で2番目に取引の多い通貨だった。

ニュージーランド銀行(BNZ)の為替ストラテジスト、ジェイソン・ウォン氏(ウェリントン在勤)は、「米財務省がドルを売るのは見栄えが良くない。そのため、代わりにユーロを使っている」との見方を示し、「最終的にはユーロに資金を戻すことになり、その過程でドルを売る可能性もあるため、効果は同じだが、そのプロセスはより見えにくくなる」と語った。

ユーロ軟調

日本が7月30日に今回の一連の為替介入を開始して以降、ユーロは、G10通貨の大半に対して下落しており、対円では約4%値下がり。ブルームバーグ・ユーロ指数は8月3日に0.2%下落したものの、なお6月17日以来の高水準付近を維持している。

JPモルガン・チェースのストラテジスト、棚瀬順哉、パトリック・ロック両氏は顧客向けリポートで、「今回の介入の主な目的は、ドル安誘導ではなく、日本からの要請に応じて円の過度な下落を防ぐことだったとみられる」と分析。

さらに、米国の外貨準備のうち、金と国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を除いた純粋な外貨準備はユーロと円で構成されていることから、今回の措置を「外貨準備の配分の範囲内で円安を抑制するための日米協調と捉えることも可能だ」と論じた。

原題:US Uses Euros to Buy Yen to Avoid Weaker Dollar, Strategists Say(抜粋)

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