(ブルームバーグ):日本による円買い支援に活用できる米連邦準備制度理事会(FRB)の制度をベッセント米財務長官が後押しする背景には、米国債市場で過度な売り圧力が生じるのを防ぐ狙いがある。
外国・国際通貨当局(FIMA)レポファシリティーは、外国の中央銀行が保有する米国債を担保としてドル資金を調達できる制度で、市場で米国債を売却して現金を確保する必要をなくす仕組みだ。
この制度は2020年に新型コロナウイルス禍で創設され、米国債市場を過度に混乱させることなく、市場参加者が流動性を確保できるようにすることを目的としている。
片山さつき財務相は3日、日本政府が7月31日に円買い介入を実施したことを確認し、今後はFIMAレポファシリティーを活用する方針を示す談話を発表。
ベッセント長官もSNSへの投稿で、この対応を支持するとともに、同制度の利用枠拡大を後押しする考えを示し、「FIMAレポファシリティーは重要なバックストップ(安全網)だ」とコメントした。
米財務省の最新データによれば、日本は外国としては最大の1兆1000億ドル(約172兆円)超の米国債を保有。このためワシントンでは、日本が為替介入の資金を確保するために米国債を売却することへの警戒感が強いとみられる。
米国債市場はすでに、FRBのインフレ抑制能力に対する疑念や米国の財政見通しへの懸念を背景に、不安定な状況に置かれている。
ロベコでアジア担当ソブリンストラテジストを務めるフィリップ・マクニコラス氏(シンガポール在勤)は、現在の債券市場の環境を踏まえれば、日本がこの制度を利用する方が米国にとって望ましいと分析。「日本の財務省は米国債を売却することなく正味のショートポジションを構築し、円需要を高めることが可能になる。その結果、米国債市場への影響を抑えられる」と述べた。
米国債30年物利回りは7月末時点で19年ぶりの高水準となり、指標の10年物利回りも昨年前半以来の高水準となった。アジア時間8月3日の取引では、米国とイランの和平協議進展への期待から原油価格が下落し、米国債利回りは全ての年限で低下した。
FRBのウェブサイトに掲載された資料によると、このレポ制度の利用上限は一つの相手先当たり1日600億ドル。ただし、この上限はFRBの小委員会が変更できる。
ロンバー・オディエのシニアマクロストラテジスト、ホミン・リー氏(シンガポール在勤)は「東京とワシントンが、日本の円買い支援による米国債市場への影響を最小限に抑えたいのであれば、FIMAは最も合理的な選択肢だ」と指摘し、「日本が実際にこの制度を利用するかどうかは別問題だが、日本が為替介入をしばらく継続したいのであれば、この手段を活用するロジックは極めて明快だ」と語った。
原題:Japan’s Use of Fed Repo May Ease Pressure on Treasury Market (1)(抜粋)
--取材協力:ジョン・チェン.
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