(ブルームバーグ):新興国・地域市場にとって好調な1年になるとの投資家の期待は、波乱の7月を経て試されている。足元の動きは、今後待ち受ける逆風を先取りしている可能性がある。
株式市場は前週末31日に大きく反発したものの、AIのインフラ整備に投じられている巨額投資に対する投資家の懸念は根強く残っており、韓国と台湾の半導体関連市場を大きく揺さぶっている。両市場はMSCIエマージング・マーケット指数の約45%を占めており、新興国市場全体が少数の半導体銘柄の値動きに左右される状況となっている。
こうした状況は31日に改めて示された。韓国総合株価指数(KOSPI)は同日に過去最大となる18%の上昇を記録。SKハイニックスとサムスン電子が約3割上昇したことを受け、MSCIエマージング・マーケット指数は2008年以降で最大の上昇率を記録した。
AI関連株の乱高下に加え、マクロ経済環境も悪化している。中東で戦闘が再び激化したことで、原油価格は7月に約20%上昇した。同時に、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ抑制への姿勢に疑問が広がり、米金利がさらに上昇するとの見方も投資家心理の重荷となっている。
ナインティ・ワン・アセット・マネジメントの新興国市場アナリスト、ロジャー・マーク氏は、こうした状況を新興国市場にとって厳しい環境だとみている。同氏は、米国とイランの戦争が中東全域へ拡大し始める中、ホルムズ海峡の封鎖が終わる兆しが見えないことを懸念している。
マーク氏は「物事がさらに悪化するシナリオが幾らでも描けるほど、不確実性が多い」と指摘。「新興国市場の観点から最大のリスクはエネルギーだ。エネルギー輸送が再開されなければどうなるのか、それがインフレや中央銀行の政策運営にどのような影響を与えるのかが焦点になる」と語った。
著名な市場ストラテジストのエド・ヤルデニ氏も最近、新興国株に対する投資判断を「マーケットウエート」に引き下げた。同氏は「短期的な四つの逆風が同時に押し寄せている」と指摘し、原油価格、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢、ドル高、AI疲れを挙げた。

31日の反発を受け、MSCIエマージング・マーケット指数は年初来で約18%高となった。1-6月の28%上昇からは伸び悩んだものの、2026年のS&P500種株価指数の上昇率の2倍超となっている。
一方、今回のAI関連株の下落を投資機会と捉える向きもある。
ウィリアム・ブレア・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、チャンダン・カンナ氏は「個人投資家のレバレッジ解消が一因となり、正常化に向けた一時的な空白期間が生じただけだ。長期的に見れば、これは健全な動きだ」と述べた。
それでも多くの投資家は慎重姿勢を崩していない。31日の反発は、一連の規制措置に加え、これまで下落を増幅させてきたレバレッジ型上場投資信託(ETF)への投機的な取引が一巡した兆候によるものとみられている。海外投資家は韓国株を50億ドル(約7800億円)買い越した一方、国内投資家は過去最大となる58億ドル相当を売り越した。
原題:Ugly Month in Emerging Markets May Be a Taste of What’s Ahead(抜粋)
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