米格付け会社ムーディーズ・レーティングスはアルゼンチンの信用格付けを引き上げた。同国にとって3カ月足らずで3度目の格上げとなり、ミレイ大統領の経済改革が改めて評価された。

信用格付けは「Caa1」から「B3」に引き上げられた。見通しは「ポジティブ」。依然として投機的等級の中でも低い水準だが、大手格付け3社はいずれもアルゼンチンを極めて信用リスクが高いカテゴリーより上位に位置付けた。世界の金融市場で長年、最もリスクの高い国の一つとみなされてきたアルゼンチンにとって節目となる。

ムーディーズのアナリストは21日の発表資料で、「デフォルト(債務不履行)リスクは大幅に低下したと判断した。マクロ経済の安定化は初期の調整局面を脱し、信用力の基盤がより持続的に改善する段階に入っており、ガバナンス改善の表れでもある」と説明した。

「輸出の伸びとエネルギー、鉱業分野への海外直接投資の増加に加え、対外資金調達へのアクセスも改善しており、対外面の見通しは著しく良くなった」とした。

格付け見通しをポジティブとした理由については、「対外金融面の構造的な改善とマクロ経済の安定化が続けば、同国の信用力が一段と強まる可能性がある」と説明した。

ムーディーズによる今回の格上げに先立ち、フィッチ・レーティングスは5月にアルゼンチンを「B-」に格上げし、S&Pグローバル・レーティングも6月に同様の措置を取った。両社とも、財政収支を立て直し、3桁台に達していたインフレ率を引き下げたミレイ大統領の実績を理由に挙げた。

アルゼンチン国債と米国債の利回り格差は現在、約400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と8年ぶりの低水準にある。同国は長年にわたる経済危機と債務不履行からの脱却を目指している。

格上げにより、アルゼンチン債に投資できる投資家の裾野は広がる。極めて信用リスクが高いカテゴリーから脱すれば新たな買い手を呼び込みやすくなり、格上げが続けば、同国債を保有できる機関投資家の範囲はさらに広がる。

ミレイ政権は財政黒字を維持している。既存債務の返済には、国内法に基づくドル建て債の発行や海外銀行とのレポ契約、多国間機関の支援を受けた資金調達を活用してきた。

中央銀行も外貨準備の積み増しを加速した。2026年1-6月(上期)に100億ドル(約1兆6300億円)を超す外貨を購入し、国際通貨基金(IMF)との間で設定した政府目標を達成した。

政府は同時に、一部の資本規制を段階的に緩和し、金融・為替制度の正常化を目指す改革を進めている。

ムーディーズの格上げにより、同国が国際債市場に復帰する可能性は一段と高まった。フィッチとS&Pによる格上げ後、国債スプレッドは大幅に縮小し、S&Pの格上げを受けてミレイ政権発足後で最小となった。

とはいえ、政府当局者は、借り入れコストが財政・対外面の改善をなお十分に反映しておらず、スプレッドは250-300bp程度まで縮小すべきだと繰り返し主張している。

ムーディーズは、対外金融面の構造改善が続けば、さらに格上げする可能性があると説明した。一方、27年の大統領選を控えてリスクが残るとも指摘した。

ただ、過去の選挙に比べて「政策の振れ幅は狭まった」とし、政策が継続する可能性は高まったと分析した。政策の継続性は長年、投資家にとって最大の懸念の一つだった。

原題:Moody’s Lifts Argentina Debt Rating in Fresh Boost to Milei (1)(抜粋)

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