(ブルームバーグ):17日の米株式相場は続落。半導体株の売りが加速し、年初からの株高をけん引してきた同セクターは弱気相場入りした。AI関連投資の拡大を正当化することが難しくなりつつあるとの懸念が背景にある。
フィラデルフィア半導体株指数は今週、2025年4月の関税を巡る混乱以来の大幅安となり、過去最高値から20%下落した。中国のAIスタートアップ、ムーンショット(月之暗面)の技術的なブレークスルーも同セクターへの期待を冷やした。地政学的リスクの高まりを背景とする株安も重なり、ナスダック100指数は1.5%下落した。米国とイランによる攻撃の応酬が続き、原油価格は上昇した。
AI関連銘柄への旺盛な需要を背景に、半導体株は4-6月期に過去最高の上昇率を記録した。しかし7月に入り、競争激化や供給過剰への懸念に加え、AIへの巨額投資が十分な成果を生むのかを疑問視する見方から、値動きの荒い展開となっている。
トレード・ネーションのデービッド・モリソン氏は、企業業績や需要動向は依然として堅調だとしつつも、利益確定売りは一部の投資家が現在の成長ペースをどこまで維持できるのか疑問を抱き始めていることを示していると指摘した。「今後の焦点は、今回の下落が再び『押し目買い』の好機となるのか、それとも投資家が一斉に売りに動き、下落ペースが加速するかどうかだ」と述べた。

エドワード・ジョーンズのアンジェロ・クルカファス氏は、AI関連投資の拡大ペースや投資効果に疑問が抱かれ始め、AI関連株の値動きは不安定になっていると指摘。ただ、企業決算では需要の減速を示す兆候はまだ見られていないと述べた。
さらに「AIという投資テーマは崩れつつあるのではなく、成熟段階に入りつつある可能性が高い。それは革新的な投資サイクルが進展する過程で健全なことだ」と話した。そのうえで「投資家はAI関連への投資を維持しつつ、景気敏感株やバリュー株、海外株式など、より分散された異なるリターン源を組み合わせるべきだ」と語った。
シティグループのベアータ・マンティ氏は、上昇がテクノロジー株以外へと広がるには、大規模な資金シフトが必要だと指摘。現在の相場の弱さは市場全体の崩れではなく、セクター間の資金移動を反映したものだとの見方を示した。
同氏はブルームバーグテレビジョンで、「市場では待ち望まれていた物色対象の広がりへの期待が生まれ始めている。そのためには資金シフトが必要であり、その動きは時に非常に激しくなる傾向がある」と述べた。
国債
米国債市場では超長期債が小幅高となる一方、短・中期債は下落。米国がイランとの紛争激化に備え、イスラエルへ空中給油機を数十機追加派遣するとのアクシオスの報道を受け、短期債を中心に売りが出た。利回り曲線は長短金利差が縮小する「ツイスト・フラットニング」の動きが強まった。
週間ベースでは小幅ながら上昇した。インフレ統計が追い風となり、原油価格の反発を上回る影響を及ぼしたことで、市場では7月の利上げ観測が大きく後退した。
市場では、7月28-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.25ポイントの利上げが実施される確率を約50%と織り込んでいたが、現在は約15%まで低下している。会合までに主要な経済指標の発表は予定されておらず、FRB当局者も対外発言を控えるブラックアウト期間に入るため、市場予想がさらに修正される余地は限られる。

外為
外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が株安を背景に週間の下げ幅を縮小した。週末を前に、短期的なドル売り持ち高を解消する動きが広がった。
ドル指数は前日比では小幅高となったが、週間では3週連続安と、4月以来で最も長い下落局面となった。
ニューヨーク時間の円は対ドルで、主に前日終値と同じ1ドル=162円台前半で推移した。一時は米短期金利の上昇を背景に、162円52銭まで下げる場面もあった。

原油
原油先物は反発。米国とイランが全面戦争に戻るリスクが意識され、ホルムズ海峡経由の原油供給が脅かされるとの懸念が強まった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物8月限は3.54ドル(4.5%)上げて、82.49ドルで終了。北海ブレント先物9月限は前日比3.87ドル(4.6%)高の1バレル=88.10ドルで引けた。週間ではいずれも15%を超える値上がりとなり、ブレントは4月以来の大幅高となった。
ニュースサイトのアクシオスがこの日、米国がイスラエルに数十機の空中給油機を派遣していると報道。目先に戦闘が激化するとの見方が強まり、原油相場はこの日の高値をつけた。
米国は防衛施設などを標的とする新たな空爆を実施する一方、イランは報復としてクウェートの淡水化施設や発電所を標的とするなど、両国による攻撃の応酬が続いている。

ホルムズ海峡を巡る懸念再燃で、原油相場は足元、約1カ月ぶりの高値圏まで戻している。4-6月(第2四半期)には約30%の下げを記録した。
戦争はディーゼル油やガソリンなど燃料油の供給にも影響を及ぼしており、米石油会社の精製マージンは過去最高水準に達している。
背景には、ロシアがウクライナによる国内製油所への攻撃を受けてディーゼル油の輸出を禁止したことがある。さらに米上院議会では、ロシアに対する経済圧力を強めるため、ロシア産原油の購入国に制裁を科す法案の可決を目指す動きが出ている。
カタリスト・エナジー・インフラストラクチャー・ファンドのポートフォリオマネジャー、サイモン・ラック氏は、「原油よりも石油製品の方が供給ひっ迫が深刻だ。在庫の取り崩しが進み、需給の余力はほとんど残っていないとエネルギー企業の幹部が警鐘を鳴らしていた中で、平穏な時期は長く続かなかった」と述べた。
金
金スポット価格は反発。重要な節目である1オンス=4000ドルを一時割り込み、押し目買いが入った。ただ、米イランの戦闘激化を背景とする根強い米利上げ観測から、週間では2%を超える下げとなった。
5カ月目に入ったイラン戦争は、エネルギーやコモディティー(商品)価格を再び押し上げている。そのため、FRBがいずれ金融引き締めに動くとの懸念がくすぶっており、利息を生まない金の逆風となっている。

スワップ市場では、7月の利上げ確率は12%にとどまるものの、年内に少なくとも1回の利上げが実施されるとの見方を織り込んでいる。複数のFRB当局者は最近、高インフレへの懸念を示し、近く利上げが必要になるかもしれないと警告している。
TDセキュリティーズのシニア・コモディティー・ストラテジスト、ライアン・マッケイ氏は「1オンス=4000ドル割れの局面では押し目買いが入った」と指摘。「6月はエネルギー価格が急落したため、インフレ指標がある程度落ち着くと想定される。ただ、その後の情勢悪化を踏まえると、インフレ鈍化は限定的にとどまり、FRBの利上げ観測は消えないだろう」と述べた。
金スポットはニューヨーク時間午後1時56分現在、前日比32.98ドル(0.8%)高の1オンス=4009.48ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は26.70ドル(0.7%)高の4018.80ドルで引けた。
欧州
欧州債券市場は、安全資産への資金流入を背景に超長期債が上昇した。
ドイツ30年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して3.62%となった。政策金利の動向に敏感な2年債利回りは1bp上昇して2.78%となった。超長期債が相対的に堅調だったことで、ドイツ債のイールドカーブはツイスト・スティープ化した。
超長期債利回りは、週次でイラン戦争開始以来最長の3週連続で上昇した。
市場では、来週の欧州中央銀行(ECB)政策委員会会合で利上げが実施されると予想する向きはほとんどないが、9月会合での利上げ確率は94%と織り込まれている。また、年末までにさらに1回利上げが行われる可能性も高いとみられている。
英国債も上昇した。アンディ・バーナム氏が与党・労働党の党首に就任し、首相交代が円滑に進むとの見方も相場を支えた。
欧州株は下落。地政学的緊張の高まりとテクノロジー株安が相場の重しとなった。
ストックス欧州600指数は終値で0.3%安となり、今週の上昇分をほぼ失った。半導体関連株は、米国やアジア市場での下落の流れを引き継ぎ、ASMLホールディングは3.8%安、BEセミコンダクター・インダストリーズは4.5%安となった。
テクノロジー株は業種別で最大の下落率となり、5月以来の安値まで下落した。中国のAIスタートアップ、ムーンショット(月之暗面)がアンソロピックやOpenAIの上位モデルに匹敵するとされるAIモデル「Kimi K3」を発表し、動揺が広がった。
7月17日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)
原題:Chip Stocks Slide Into Bear Market in AI Unwind: Markets Wrap(抜粋)
USTs Dip After Report of US Sending Refueling Planes to Israel
Treasuries Post Weekly Advance as Inflation Optimism Prevails
Dollar Set for Third Weekly Drop, Yen Erases Gains: Inside G10
Oil Advances as Fears Mount Over Further Escalation in Iran War
Gold Trims Weekly Drop on Dip-Buying Despite Rate Hike Odds
European Bonds Gain Amid Flight to Havens: End-of-Day Curves、European Stocks Drop on Mideast Escalation Fears, Tech Selloff
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