国債を少額投資非課税制度(NISA)の対象に加える案が浮上している。個人による保有を促し、国債消化の裾野を広げる狙いがある。片山さつき財務相が14日の閣議後会見で前向きな姿勢を示したほか、国民民主党も10日に法案を参議院に提出している。

国が発行する国債は金融商品の中でも安全な資産として認識されており、とりわけ個人向け国債は、元本割れしない仕組みや1万円から購入できる手軽さを売りに、リスクを抑えた資産運用を望む個人に向けて設計されている。

しかし、現時点ではNISAを通じた投資は株式や投資信託、上場投資信託(ETF)などが対象で、国債や個人向け国債は含まれていない。国債を投資対象とする投資信託などを通じて間接的に持つことは可能だ。

片山財務相は会見で、日本国債をNISAの対象とすることについて「やっていく時ではないか」と述べた。同発言を受けて国民民主党の玉木雄一郎代表はX(旧ツイッター)に「協力して進めていきます」と投稿した。

片山氏は5月末の衆院財務金融委員会でも、国債の安定消化には国内外の幅広い投資家に保有してもらうことが不可欠で、「当然、個人に入ってもらうことも重要」と話していた。また、国債の金利は普通預金よりも高く、「家計資産のポートフォリオにおいてもっと選ばれてもいい金融商品」と訴えた。

日本銀行が大規模な金融緩和政策を修正し、国債の購入を段階的に減らす中、市場では安定的な買い手の確保が課題となっている。個人による保有が増えれば、国債消化を支える効果が期待される。

ただ、識者からはNISAの対象に国債を含める効果を疑問視する声も出ている。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、足元の金利上昇は財政リスクを織り込む形で超長期債を中心に目立っており、「個人が財政リスクによる売りを吸収できるほどの需要を生むかは不透明」と指摘する。「誰も持ちたくないものに対して、投資対象になったといわれても判断は難しい」とも話した。

市場で取引される通常の国債は価格が日々変動するため、満期前に売却すれば損失が出ることもある。一方、個人向け国債は元本が保証された金融商品で、変動金利型10年満期、固定型5年満期、固定型3年満期の3種類がある。財務省のウェブサイトによると年12回発行され、発行後1年を過ぎれば額面1万円単位で中途換金できる。

10年変動の個人向け国債は実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わるため、金利上昇局面では受け取る利子が増える可能性がある。例えば7月募集の10年変動の初回利率は1.8%、5年固定の利率は年1.95%となっているが、利子の受取時には税金として20.315%分が差し引かれる。

国債や個人向け国債がNISAの対象となれば、NISA口座で投資した国債については利子が非課税でそのまま受け取れるようになる。

メリットとデメリット

金利の上昇局面では、非課税メリットは大きくなる。リスクのある株式投資には心理的に抵抗があるものの、預金よりは高い利回りを求めたい個人投資家にとって投資の入り口となる可能性がある。

国債をNISA対象にすることには副作用もある。NISAは個人の長期的な資産形成の後押しが狙いであると同時に、企業へのリスクマネー供給を促すのが狙いだ。ピクテ・ジャパンの松元浩シニアフェローは「リスク性資産を買うということなので、趣旨とは違う印象を受ける」と指摘する。

さらに、安全資産の国債が対象に加われば、一部は株式や投資信託から国債に向かい、「貯蓄から投資へ」の政策効果を弱めてしまう可能性もある。

また、金融商品間の公平性の問題もある。国債が対象になれば、なぜ社債や地方債は対象にしないのかとの指摘が出る懸念もある。松元氏は、株式が民間企業の資本への投資であることを踏まえると、社債を通じて投資することと違いはないことから、社債も含めた債券に対象を広げる発想になるかもしれないとの見方を示した。

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