(ブルームバーグ):ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9日、金融政策運営の重要分野へのアプローチを検証する五つの作業部会の責任者を発表した。大規模な改革につなげる可能性を念頭に置いている。
作業部会の責任者には、著名な学識経験者や元中央銀行総裁、企業経営者らが起用された。各作業部会は、連邦準備制度のコミュニケーション戦略、6兆7000億ドル(約1088 兆円)のバランスシート、既存データの活用と依存のあり方、生産性と雇用、インフレの枠組みについて検証する。
ウォーシュ議長は、5月に就任する前から連邦準備制度の「レジームチェンジ(体制変革)」を訴え、政策運営の手法を抜本的に見直す必要性を主張していた。
ウォーシュ議長は9日の発表文で、「各作業部会は金融当局者の手段・手法や分析ツール、政策アプローチについて、改善の余地があるかどうかを慎重に検討する」と指摘。「目標は明確だ。この重要な時期において、連邦準備制度がその使命を最も効果的に果たせる体制を確保することだ」と説明した。
ウォーシュ議長は、作業部会の責任者として複数の元当局者を起用した。2008-09年の金融危機時にイングランド銀行(英中銀)率いた元総裁のマービン・キング氏や、政治介入からブラジル中銀の独立性を守ったことで知られる元総裁のアルミニオ・フラガ氏が含まれる。
また、世界金融危機に先立ち早期に警鐘を鳴らしたことで知られるインド準備銀行(中銀)元総裁のラグラム・ラジャン氏も、作業部会の一つで共同責任者を務める。
このほか、オバマ元政権時代に米財務省で要職を歴任したハーバード大学のカレン・ダイナン氏や、米小売り大手ウォルマートのダグ・マクミロン前最高経営責任者(CEO)も責任者に名を連ねた。
RSM USのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏は、責任者の顔ぶれは作業部会に豊富な経験をもたらすとする一方、課題にも直面するとの見方を示した。
ブルスエラス氏は「ウォーシュ議長が選んだ顔ぶれは非常に印象的であり、重要なテーマを巡る議論に有益な知見をもたらすと確信している」と述べた。
一方で、「連邦準備制度には既にこれらの分野を研究してきた博士号取得者が大勢いる。このため、生産性やAIに関する理解を大きく深めることになるかについては、それほど確信していない」と語った。
ウォーシュ議長は6月に作業部会の設置を発表した際、各作業部会は年末までに結論を取りまとめる見通しで、外部専門家はFRBスタッフの支援を受けると説明していた。
ウォーシュ議長は発表文で、「さまざまな分野から集まった最高の知性」として作業部会の責任者を評価した。
具体的な顔触れは次の通り。
コミュニケーション
- ピーター・フィッシャー氏 ワシントン大学フォスター・スクール・オブ・ビジネス 実務教授
- アルミニオ・フラガ氏 ガベア・インベスティメント創業者兼会長、ブラジル中銀元総裁
- マービン・キング氏 イングランド銀行元総裁
バランスシート政策
- カレン・ダイナン氏 ハーバード大学経済学教授
- ラグラム・ラジャン氏 シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授(ファイナンス)、インド準備銀行元総裁
- ジェレミー・スタイン氏 ハーバード大学経済学教授、元FRB理事
データ
- ラジ・チェティ氏 ハーバード大学経済学教授
- ダグ・マクミロン氏 ウォルマート前社長兼CEO
- ケビン・マーフィー氏 シカゴ大学経済学教授
生産性と雇用
- マーク・アンドリーセン氏 アンドリーセン・ホロウィッツ共同創業者・ゼネラルパートナー
- チャールズ・ジョーンズ氏 スタンフォード大学経済学教授、現在はアンソロピックに出向中
- アシャ・シャルマ氏 マイクロソフトのゲーム部門XboxmのCEO
インフレ枠組み
- グレゴリー・マンキュー氏 ハーバード大学経済学教授、大統領経済諮問委員会(CEA)元委員長
- トーマス・サージェント氏 ニューヨーク大学経済学教授、ノーベル経済学賞受賞者
- ウィリアム・ホワイト氏 C・D・ハウ研究所シニアフェロー、国際決済銀行(BIS)元エコノミック・アドバイザー
原題:Fed’s Warsh Names Leadership for Five New Task Forces(抜粋)
--取材協力:Jonnelle Marte、Maria Eloisa Capurro、Catarina Saraiva.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.