米国はイランに対する新たな空爆を実施するとともに、イランが世界市場で原油を販売することを認めていた適用除外措置を取り消した。ホルムズ海峡で相次いだ船舶への攻撃を受け、両国の和平合意は一段と危うい状況に陥っている。

米中央軍はX(旧ツイッター)への投稿で、「強力な攻撃」は「国際水路で無実の民間人が乗り組む商船を標的として攻撃したことに大きな代償を課すためだ」と説明した。

この数時間前に、米財務省は7月7日以降はイラン産原油に関する新たな取引を認めないと発表した。この措置を受けて原油価格は急騰した。一方、エネルギー価格の高騰が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げにつながるとの懸念から、金価格は下落した。

これら一連の措置は、6月17日に両国首脳が署名した暫定合意に対するこれまでで最も深刻な脅威となった。また、この合意から60日以内の恒久的な和平実現を目指す交渉が頓挫する可能性も高まった。

米当局者によると、米軍による攻撃はイランの防空システムや兵器発射装置を標的として実施された。イランのメヘル通信は海峡付近で爆発音が聞こえたと報じた。

攻撃が伝わると、米国産標準油種ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、1バレル=72ドルを上回った。緊張緩和を背景に第2四半期に急落していた原油価格が反発し、世界のエネルギー市場に新たな混乱をもたらす恐れがある。

国際指標の北海ブレント原油は、米国とイスラエルが2月下旬にイランへの軍事作戦を開始した約2カ月後の4月下旬に1バレル=125ドル近くまで上昇した。その後は回復の兆しが強まったことから、今月は紛争前の水準に近づいていた。

双方は相手が停戦に違反したと非難している。米国は、過去24時間にホルムズ海峡で発生した一連の商船攻撃についてイランに責任があると主張している。

Photographer: Majid Saeedi/Getty Images

一方、イランは、米国の軍事攻撃と適用除外措置の撤回はいずれも両国間の合意違反だと主張した。ガリババディ外務次官は「断固たる措置」を取ると表明した。

匿名を条件に取材に応じた米政府当局者は、イランは適切な行動を取る場合にのみ米国との合意による利益を享受できると述べた。ホルムズ海峡でのイランの行動は容認できず、相応の結果を招くことになると同当局者は語った。

その一方で、敵対関係にある国家間の最終合意に向け、誠実な交渉は続いていると同当局者は述べ、米国としては和平プロセスを放棄する考えがないことを示唆した。

商船への攻撃停止と米国による適用除外措置は、米国とイランの戦闘を60日間停止させた覚書(MOU)の中核を成していた。この合意は、イランの核開発計画やホルムズ海峡の将来について、より詳細な交渉を進めるための時間を確保することを目的としていた。

それでも、この覚書はかろうじて維持されてきたにすぎない。6月下旬には、イランが海峡でシンガポール船籍のコンテナ船を攻撃し、米国が報復したことで、双方による応酬が続く事態となった。

また、イラン側は繰り返し、自国の許可なしに船舶が同海峡を通航することは認めないと表明してきた。ただし、カタール関連の船舶への攻撃については関与を否定している。

トランプ大統領は、米国とイスラエルが2月下旬にイランへの攻撃を開始する前と同様に、船舶が海峡を自由に通航できる状態を求めていた。

元ホワイトハウス当局者で現在はコンサルティング会社ラピダン・エナジー・グループの社長を務めるボブ・マクナリー氏は、適用除外措置の撤回について、「停戦は市場が考えていたほど持続的で盤石ではないかもしれないというシグナルだ。市場は改めてリスクを織り込む必要がある」と述べた。

相次ぐ攻撃は、オマーン沿岸寄りの航路を通る船舶を軍が護衛している状況でも、ホルムズ海峡を航行する船舶が依然として大きな危険にさらされていることを浮き彫りにしている。

コードル米海軍作戦部長(海軍大将)によると、イランは商船を自国沿岸へ誘導し、オマーン側の航路を利用させないよう圧力をかけているという。

またコードル氏は、イランが機雷を敷設し、船舶をイラン寄りの航路へ誘導しようとしていると説明した。その狙いは「実際のホルムズ海峡で船舶をイラン側の航路へ強制的に誘導すること」だと、「ブルームバーグ・ディス・ウィークエンド」のインタビューで語った。

制裁アドバイザリー会社クラリティー・コンプライアンス・コンサルティングの共同創業者、クレア・オニール・マクレスキー氏は、「イランは自らがホルムズ海峡を支配しており、安全に通航する唯一の方法は北側ルートを通ることだと示そうとしている」と指摘した。

ペルシャ湾からの原油輸送や域内の原油生産は戦争前の水準に戻り始めていたが、敵対行為の再開と、重要なホルムズ海峡を経由するエネルギー輸送への脅威再燃によって、世界市場は再び大きな変動に見舞われる可能性がある。

米国とイランの協議は、2月下旬の開戦初日に死亡した前最高指導者アリ・ハメネイ師の葬儀がテヘランで始まったことを受けて中断された。カタールは、葬儀終了後できるだけ早く次回協議を開催するとしている。ハメネイ師は7月9日に故郷マシュハドに埋葬される予定だ。

今後数日間の焦点の一つは、米国がイランに対して新たな制裁を発動するかどうかだ。実施されれば、暫定合意へのさらなる違反となる。

米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所のデービッド・シェンカー氏は、今回の米軍の攻撃について「政権のいら立ちの表れだ」とし、「イランが合意を順守するとの期待は楽観的すぎた」とした上で「この戦争は長期化している」と語った。

原題:US Strikes Iran and Blocks Oil Sales in New Threats to Ceasefire(抜粋)

(第5段落に攻撃の標的を追加して更新します)

--取材協力:Devika Krishna Kumar、Anthony Capaccio、John Harney.

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