26日の米株式市場で、S&P500種株価指数はほぼ横ばいで終えた。AI相場をけん引してきた半導体メーカー株から、景気拡大の恩恵が期待される他の業種へ物色対象が引き続きシフトした。今週は値動きが荒かったが、この日は方向感に欠ける展開となった。

S&P500種を構成する銘柄の大半が上昇した。今週は景気の底堅さを示す指標が相次ぎ、米企業の利益拡大が今後も続くとの見方が強まった。物色の広がりを示す動きとして、時価総額の影響を除いたS&P500種均等加重指数は過去最高値を更新した。一方、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は5%超下落した。

原油価格の下落も投資家心理を支えた。ニューヨーク原油先物は節目の1バレル=70ドルを下回って終えた。

ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、「ハイテク株の下落と急速な資金シフトを受け、投資家心理は一段と弱気に傾いている。しかし、市場全体は異なる姿を示している」と語った。その上で、「本格的な下落相場の始まりというよりも、水面下で進む調整局面とみるべきだ」と述べた。

ハケット氏はまた、個人消費や企業の設備投資は堅調で、業績見通しも改善が続くなど、ファンダメンタルズに大きな変化はないと指摘。ハイテク株の値動きは不安定さを増しているものの、こうした局面は強気相場の次の上昇局面への布石となることが少なくないとの見方を示した。

フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏によると、ここ数カ月にわたる大幅上昇を経て、投資家はAI関連銘柄の割高な株価水準や、AIインフラ整備に伴うコストの増大に一段と敏感になっている。「ある程度の利益確定売りは避けられなかったのかもしれない」とした上で、「足元の値動きは、この業界の実態に対し期待があまりにも先行し過ぎているのではないかという、より根本的な疑問を投げかけている」と指摘した。

ガベリ・ファンズのジョン・ベルトン氏は、足元のハイテク株の値動きについて、「売り相場というよりも、一時的な調整局面と捉えている」との見方を示した。その上で、「ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)がAI時代に取り残される状況になるとは考えていない。むしろ、今後何年にもわたり、経済全体へのAIの普及を後押しする基盤を構築しているとみている」と付け加えた。

外為

外国為替市場では、ドル指数が続落。ホルムズ海峡の通航が回復して原油価格が下落し、今後数カ月の利上げ観測が後退したことがドル売りにつながった。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.3%近く下落した。

円は対ドルで小幅高。1ドル=161円70銭を中心にもみ合いとなった。ニューヨーク取引時間前には、1ドル=161円53銭まで上昇する場面もあった。円相場は1986年以来の安値圏で推移しており、日本当局による為替介入への警戒感が引き続きくすぶっている。

米国債

米国債相場は短期ゾーンを中心に概ね上昇(利回りは低下)した。前日に公表された5月のPCE総合価格指数が前月比で市場予想に届かず、今後数カ月の追加利上げ観測が後退。ニューヨーク原油が70ドルを割り込んだこともあり、買いが優勢になった。

金融政策の見通しに最も敏感な2年債が上昇を主導した。

追加利上げ観測は後退した。金利スワップ市場では、年末までに織り込まれる利上げ幅は約31ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、前日終盤時点の約35bpから縮小。7月のFOMC会合についても、織り込みは約8bpと、従来の約9bpから低下した。

原油

原油相場は反落。米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物はイラン戦争開始以降の上昇分をほぼ全て失った。ホルムズ海峡の通航が増える中、ペルシャ湾岸からの原油輸出が急回復し、市場が供給過剰に転じるとの見方が強まった。

世界の原油市場では、戦争中に途絶えていた中東産の供給が戻りつつあることから、供給過剰となる兆しが強まっている。北海ブレント原油の期近2限月スプレッドのコンタンゴ(順ざや)はこの日、2023年以来の大きさに拡大した。コンタンゴは通常、短期的な供給過剰を示唆する。

米国とイランの戦争終結に向けた恒久的な合意への進展を背景に、ホルムズ海峡では船舶の航行が続き、世界市場に数百万バレル規模の原油が供給されている。

前日にはホルムズ海峡で船舶が飛翔体の攻撃を受けたことから、船主や乗組員の慎重な姿勢に影を落としたものの、船舶はこの日も同海峡の通航を続けた。

とりわけ重要なのは、サウジアラビアがペルシャ湾内の主要積み出し拠点ラス・タヌラ港でタンカーへの積み込みを再開し始めたことだ。ブルームバーグの試算によると、ペルシャ湾からの原油輸出はイラン戦争前の少なくとも75%の水準まで回復した。

トランプ米大統領はこの日、イランがホルムズ海峡を航行中の貨物船を攻撃して停戦合意に違反したと非難したが、原油は軟調推移が続いた。

国連の国際海事機関(IMO)は、ペルシャ湾から船舶を退避させるプログラムの再開を検討していると明らかにした。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「原油相場には依然として強い下押し圧力がかかっている。ホルムズ海峡の通航改善が弱材料となり続けている」と指摘。「前日に船舶への攻撃があったことを受けて通航量はやや減少しているようだが、航行が完全に止まったわけではない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比2.69ドル(3.7%)安の1バレル=69.23ドルで終了。北海ブレント先物8月限は3.27ドル(4.3%)下落の71.99ドルで取引を終えた。ブレントは週間で10%余り下げ、開戦後の上げを消した。

金

金スポット相場は続伸。アジア時間に一時1オンス=4000ドルを割り込んだが、再び同水準を回復した。最新の米インフレ指標を受けて利上げ観測が後退したことが引き続き支援材料となった。米ハイテク株が下げたことも持ち直しにつながった。

金相場は週間ベースでは4週連続安と、2023年8月以来の長期下落局面となった。昨年11月以来の安値まで下落する日もあったが、週末にかけて持ち直した。

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向けてタカ派姿勢を取るとの見方を背景にドルが上昇するなど、金は逆風にさらされている。金利が上昇すると、利息を生まない金の投資妙味は薄れる。

今週は株式相場が大きく変動したため、一部の投資家はポートフォリオの他の資産で生じた損失を補おうと金売りが出る場面もあった。

サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「人気の高い成長株への投資が売り圧力にさらされると、投資家は売りたい資産ではなく、売却できる資産を売ることが多い」と指摘。「金はこの1年の大半で大きな利益を生んだ資産だったため、ポートフォリオのリスクを圧縮する必要が生じた際には、現金を確保するための売却対象になり得る」と述べた。

金スポット価格はニューヨーク時間午後2時42分現在、前日比46.44ドル(1.2%)高の1オンス=4073.17ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は48.70ドル(1.2%)高の4096.30ドルで引けた。

欧州

26日の欧州株は下落。AIやテクノロジー関連銘柄に対するセンチメントが変化しつつあり、売りが優勢になった。ストックス欧州600指数は0.7%下落。週間ベースでは上げの大半を失った。テクノロジー株は今週3.9%値下がりし、3月以来の大幅安となった。

欧州債は償還期限が短めの国債が総じてアウトパフォームした。原油価格のさらなる下落によって、金融引き締めはそれほど積極的に実施されないとの見方が強まった。

ドイツ2年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して2.50%と、4月半ば以来の低水準となった。

英国債はアンダーパフォーム。週末を控えて利益確定の動きとなった。30年債利回りは一時9bp上昇して5.49%、10年債利回りは一時8bp上昇して4.78%だった。次期首相就任が有力視されているバーナム議員は29日に英国経済について発言する予定。

欧州中央銀行(ECB)は来週、ポルトガルのシントラで年次会合を行う。追加利上げの可能性を示唆するかどうかに注目が集まっている。

6月26日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Stocks Waver as Wall Street Rotation Gains Speed: Markets Wrap(抜粋)

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--取材協力:大塚美佳.

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