(ブルームバーグ):英国でスターマー首相が16歳未満のソーシャルメディア利用を「全面的に禁止する」と発表したのは今月15日だった。
それに先立つ5月下旬、シリコンバレー最大の敵と目されるマシュー・バーグマン氏が世界最大級のソーシャルメディア各社の内部文書をまとめた告発資料を携え、ロンドンの英首相官邸を訪れた。
米国の原告側弁護士であるバーグマン氏は、約100ページに及ぶ文書を入手していた。自身と数十人の弁護団がいわゆる「ビッグテック」を相手取り、こうした企業の製品・サービスが若年層に依存症を引き起こしていると主張して提起した訴訟の証拠開示手続きによって得た資料だ。
教育とテクノロジー分野の首相顧問らとの話し合いの中で、バーグマン氏はソーシャルメディアを大手たばこ会社になぞらえた。ブルームバーグの取材に応じた同氏は顧問らに対し次のように述べたと振り返った。
ビッグテックは「公正中立な仲介者ではない。若者のメンタルヘルスへの悪影響について客観的な証拠を示すよう求め、彼らを信用することは、たばこ会社に肺がん予防について語らせるのと同じくらい不可能だ」。
スターマー首相は15日の記者会見で、「どの親も自分の目で見れば分かる。ソーシャルメディアは子どもたちを不幸にしている。いじめを行う人々が嫌がらせや虐待をしやすくし、メンタルヘルスに害を及ぼしている可能性すらある。注意を引く危険なコンテンツにさらしているからだ。依存症を生むよう設計されているのは明らかだ」と述べた。
バーグマン氏は2021年後半からシリコンバレーにとって厄介な存在となっている。ソーシャルメディア被害者法律センターを設立し、ソーシャルメディア製品は掲載コンテンツだけでなく設計自体が危険であり、企業は子どもをスクリーン依存症にした責任を問われるべきだという新たな法的な主張を打ち出した。
同氏は現在、1200人を超えるクライアントの代理人を務めており、この大規模な訴訟には数十の原告側法律事務所や米英各地の家族、学区、州司法長官らが参加している。
こうした訴訟のうち最初の案件が2月に審理され、陪審はメタ・プラットフォームズとグーグル傘下「YouTube」について、20歳女性がソーシャルメディア依存によって被った精神的健康上の被害に対する責任があると認定した。
また、バーグマン氏は英国の禁止措置案にも関与し、首相官邸に自身のクライアントを紹介した。その中には、14歳の息子がオンライン上のチャレンジに参加して死亡したと考えているエレン・ルームさんも含まれる。
バーグマン氏は首相顧問らに対し、裁判で明らかになった企業内部の文書に注目するよう促した。同氏は、企業側が自社製品について、子どもに有害な依存性をもたらし得ると認識していたことをそれらの文書が示していると考えている。
英国は、16歳未満の子どもによるソーシャルメディア利用を停止させようとする世界的な動きに加わった最新の国となった。この流れはわずか6カ月前には実現性が低いと思われていた。
オーストラリアは昨年12月、16歳未満による利用を禁止した世界初の国となり、その後インドネシア、マレーシア、スペインなどが同様の規制を導入した。
さらに追随する国が増える公算が大きい。主要7カ国(G7)首脳は17日、子どもと若者を守るオンライン保護措置の強化を世界的に進めるよう呼びかけた。
バーグマン氏は提訴している企業に対し引き続き製品機能の変更を求めている。ソーシャルメディア禁止措置を検討する他国の首脳との面会にも前向きだが、「近い将来ではない」と語る。今はさらに提訴すべき案件を抱えているという。
(この記事は、テクノロジー業界のビジネスを世界中のブルームバーグ記者が掘り下げて伝えるニュースレター「Tech In Depth」からの抜粋です)
原題:Lawyer Pushes Fight to Ban Kids From Social Media: Tech In Depth(抜粋)
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