5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比の伸びが前月から横ばいとなり、市場予想と一致した。日本銀行が年内に追加利上げを行うとの市場の観測は維持されそうだ。

総務省の19日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.4%上昇した。電気・ガス代への政府補助金の終了などを受けてエネルギーが2.5%下落と、前月からマイナス幅が縮小し、押し上げに寄与した。一方、生鮮食品を除く食料は3.5%上昇と伸びが鈍化し、押し下げ要因になった。日銀の目標の2%を下回るのは4カ月連続。

日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利を31年ぶりの水準となる1.0%程度に引き上げた。利上げ継続方針を維持するとともに、重視する基調的な物価上昇率が2%の物価目標から上振れていくリスクにも言及し、インフレ対応を重視する姿勢を強めた。今回のCPIは日銀の利上げ路線をサポートする内容と言える。

大和証券の南健人シニアエコノミストは、「全体の基調としてはあまり変わらない」と指摘。米国とイランの暫定合意は景気の下振れリスクを和らげたが、「円安や米国の動きも踏まえると、物価の上振れリスクは今週高まった」との見方を示した。次の利上げを10月会合とみている。

ブルームバーグが6月会合での利上げを受けて17日にエコノミスト44人を対象に緊急調査を実施。次の利上げのタイミングについて、最多は12月の52%で、次いで10月が36%となった。9月の2%を合わせ、年内利上げの予想が90%を占めた。連続利上げとなる次回7月の見方はゼロだった。

足元の金利スワップ市場が織り込む日銀の利上げ確率は、10月の金融政策決定会合までが約54%、12月会合までが85%程度となっている。

東京・池袋の繁華街

内田真一副総裁は決定会合後の会見で、基調的な物価上昇率が2%に近づいている中で、物価については「上振れリスクも含めて判断していくことが重要な要素の一つになっている」と指摘。政策対応が遅れる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ることがないよう適切に運営していきたいと語った。

賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.0%上昇となり、前月の0.9%上昇からプラス幅が拡大した。中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の上昇といったコスト上昇による企業収益圧迫が懸念される中、好調な賃上げに及ぼす影響には注意が必要だ。

みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、「基調物価は去年の夏にピークをつけ、足元やや鈍化している状況は変わらない」と分析。日銀は物価の見通しに対しオントラック(想定通り)であれば淡々と緩和度合いを調整していくとの考え方で、「急ごうとしているわけではない」との見方を示した。

生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは1.8%上昇と前月の1.9%上昇から伸びが縮小。プラス幅の縮小は7カ月連続。市場予想と一致した。

総合指数は1.5%上昇と伸びが拡大。前月は1.4%上昇だった。日銀が目標の対象としている総合が2%を下回るのは5カ月連続。市場予想と同じだった。

東京外国為替市場の円相場は午前9時40分現在、対ドルで161円台前半で推移。全国CPIへの反応は限定的だった。

総務省の説明

  • エネルギーのマイナス幅縮小は、昨年4月から5月の価格下落が影響したガソリンなどを反映。
  • 生鮮食品除く食料の上昇幅は25年8月から10カ月連続で縮小。米類は4.9%下落と22年11月以来の前年比マイナス転換
  • 駐車場工事費や外国パック旅行費が一般サービスの前年同月比の拡大に寄与
  • 中東情勢の影響で急上昇した品目は見られないが、そもそも影響が顕著に見られるものか不明、影響がないとは言い切れない
  • コアの上昇品目は372、下落品目は121、変化なしは29-前月はそれぞれ378、113、31

(9段落目以降に外部コメントと総務省の説明を追加して更新しました)

--取材協力:氏兼敬子、横山恵利香.

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