イーロン・マスク氏率いるスペースXの銀行団は、記録的な新規株式公開(IPO)に続き、少なくとも200億ドル(約3兆2300億円)の社債を発行する可能性について協議するため、早ければ来週に投資家との電話会議を開く準備を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

関係者によると、投資家向け説明会は早ければ22日に始まる可能性がある。計画や日程は変更もあり得るという。公に発言する権限がないとして関係者は匿名を条件に語った。

ロケット、衛星、人工知能(AI)事業を手掛けるマスク氏の複合企業体であるスペースXは、高格付けの米ドル建て社債を初めて発行する計画だ。同社は18日、主要格付け会社3社からいずれも投資適格級の「トリプルB」クラスの格付けを取得。IPO後の資金調達に向けてより低いコストでの借り入れへの道が開かれた。

調達資金は、2027年9月に返済期限を迎える200億ドルのつなぎ融資の借り換えに充てられる見通しだ。同社が米証券取引委員会(SEC)に提出したIPO目論見書によると、このブリッジローンは3月31日時点での長期債務291億ドルの大部分を占めている。

関係者によると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレーがこのつなぎ融資を提供しており、今回の社債発行の主幹事も務める見込みだ。

スペースXとBofAはコメント要請に応じなかった。シティグループ、ゴールドマン、JPモルガン、モルガン・スタンレーはいずれもコメントを控えた。

スペースXは歴史的なIPOによって、世界有数の時価総額を持つ上場企業となり、創業者のマスク氏は世界初の「トリリオネア」となった。

また、2月にAIスタートアップのxAIを買収したことで、スペースXの上場は、年内にもある見通しのアンソロピックやOpenAIのIPOを占う試金石としての意味合いもある。

ムーディーズ・レーティングスは「Baa1」、フィッチ・レーティングスは「BBB+」をそれぞれ付与した。いずれも投機的格付け(ジャンク級)を3段階上回る水準。S&Pグローバル・レーティングスは、それより1段階低い「BBB」とした。

マスク氏は事業の買収や成長のために負債による資金調達を積極的に活用し、銀行から数十億ドル規模の融資枠を確保するとともに、複雑な資金調達スキームを組成してきた。ただ、常に順調だったわけではない。2022年のツイッター買収では約125億ドルの負債を同社に負わせ、ウォール街の銀行は当初、貸付債権を投資家に売却できず売れ残り債務の泥沼に陥った。銀行団は最終的に昨年、その売却に成功した。

クレジットサイツのアナリスト、マット・ウッドラフ氏は、社債発行の可能性について「同社は近いうちにデット市場で実績を築きたいと考えているだろう」と指摘。「将来的に設備投資資金が必要になるため、その観点からは早ければ早いほど良い」と述べた。

スペースXは提出書類で、設備投資額は今後「大幅に」増加する見通しで、将来の投資資金を賄うために「さまざまな負債および株式による資金調達手段」を活用する計画を示していた。

原題:SpaceX Bankers Prepare for Bond Sale of at Least $20 Billion (2)(抜粋)

(格付けの取得などを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.