ドイツ銀行が29日発表した1-3月(第1四半期)決算では、貸倒引当金が膨らみ、財務の健全性を示す主要指標が市場予想を下回った。これらが予想以上だった利益と収入に影を落とした。

ドイツ銀は商業用不動産に関連する「単一先のエクスポージャー」により、1-3月の貸倒引当金が前年同期比77%増の5億1900万ユーロ(約970億円)になったと説明。また、普通株等Tier1(CET1)比率は13.8%と、アナリストが予想していた14%を下回った。

収入の柱である債券トレーディングは小幅減で、大幅な利益をあげた米銀に大きく水をあけられた。ユーロ高の影響や、金利事業の弱さが背景にあるとみられる。

ラジャ・アクラム最高財務責任者(CFO)はブルームバーグテレビジョンに対し、米国の対イラン戦争で不意を突かれ、金利トレーディングが「やや圧迫された」と述べた。4月はトレーディング部門にとって「建設的な形で」始まったとも語った。

クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は昨年後半に打ち出した戦略に基づき、収益性の向上と株主還元の強化を掲げている。ドイツ銀は通年の収入とコスト目標の達成に向けて順調に進んでいることを確認した。ただ、イラン戦争で原油価格が上昇し、経済成長が脅かされているため、達成への道筋は以前ほど容易ではない。

ドイツ銀の株価は29日のフランクフルト市場で一時3.6%下落し、年初からの下落率は20%に拡大。欧州銀行株指数の構成銘柄のうち、年初来下落率はドイツ銀が最も大きい。

商業用不動産

問題のエクスポージャーは既存の案件で、その「再評価」を行った結果だとアクラムCFOは記者団に説明した。

ドイツ銀は商業用不動産で大規模なクレジットポートフォリオを抱えている。この資産クラスが依然として主要なリスクだと、同行は1-3月の決算報告で指摘。「特に米西海岸のオフィス市場で、借り換えの課題や担保価値の変動および不確実性のリスクに直面している」と付け加えた。

3月末時点の商業用不動産へのエクスポージャーは239億に上り、最も高リスクの「ステージ3」に区分されるエクスポージャーは、前期の36億ユーロから38億ユーロに増加した。

同行はまた、イラン戦争に関連する経済動向が引き起こし得る潜在的な損失に備えるため、いわゆるマネジメント・オーバーレイとして9000万ユーロを引当金に追加した。

「ドイツ銀行の決算は強弱入り混じる内容で、収入とコスト抑制で強みが見られた一方、引当金や資本面は弱かった」と、KBWのアナリスト、トーマス・ハレットはリポートで指摘した。

1-3月の市場のボラティリティーは米銀の多くにとって追い風となったが、米国とイスラエルのイラン攻撃攻撃開始後の金利急騰で、ゴールドマン・サックス・グループなど一部の銀行は打撃を受けた。欧州の銀行は、ドル下落が自国通貨に換算した際のトレーディング収入を目減りさせた。

1-3月は、個人向け融資やウェルスマネジメントを含むプライベートバンク部門の収入が約5%増加し、資産運用部門も10%の増収となった。債券・通貨トレーディング収入は29億ユーロと、約1%減少。ユーロ高や金利ビジネスの不振が逆風となった。

ドイツ銀は何年も前にコモディティーと株式のトレーディングから撤退しており、両市場のボラティリティーを利用して稼いだ他行のような機会はなかった。それでも、コモディティー取引に再参入する意図はドイツ銀にないと、アクラム氏はブルームバーグテレビジョンで明言した。

「他行へのうらやましさから、われわれは戦略を立てることはしない」と同氏は語った。

原題:Deutsche Bank’s Provisions, Capital Miss Take Shine Off Earnings、Deutsche Bank Flags Commercial Property as Risk After Hit (1)(抜粋)

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