トランプ米政権は、中国の開発企業が米国の最先端人工知能(AI)モデルを不正に利用し、競合する対話型AIを開発することを防ぐ措置を公表した。中国が米企業の成果を無断で利用しているとのシリコンバレー側の不満に対し、米政府として初めて本格的な対抗策を打ち出した格好だ。

ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)は23日のメモで、米国内の開発企業間での情報共有を拡大し、AIモデルの不正な抽出を検知する取り組みを強化すると表明した。さらに米政府は業界と連携し、こうした不正行為の抑制方法や責任追及の在り方を検討する。

OSTPのクラツィオス局長はメモで「米国産業のイノベーションを体系的に抽出してコピーすることに革新性はない。また、悪意ある搾取行為から生まれたとされるオープンモデルは、決してオープンとは言えない」と述べた。

今回の措置は「蒸留」と呼ばれる手法を抑制するための、これまでで最も重要な米国の取り組みとなる。蒸留とは、AI開発企業が既存モデルの出力結果を使って新たなモデルを訓練し、はるかに低コストで類似の能力を実現する手法で、蒸留によって作られたモデルは、研究開発費や元となるモデルの訓練に必要な高価なAIプロセッサーのコストを回避できる。

小規模で性能の低いシステムの訓練では一定程度容認されているものの、最先端モデルを複製する目的で無断使用する場合、蒸留はAI企業の利用規約に違反する。ホワイトハウスはメモで、米国は活発なオープンソースのエコシステムを支持するとしつつ、米国の研究開発投資を損なう目的の蒸留は容認できないと明確にした。

蒸留を巡る取り締まり強化は、OpenAIやアンソロピック、アルファベット傘下のグーグルなど米企業の間で高まる懸念に対応するものだ。これらの企業は、自社モデルの出力がAIスタートアップ、DeepSeekやムーンショット、ミニマックスといった中国企業に不正利用され、より低コストかつ安全対策の少ない製品開発に使われているとみている。

原題:US Seeks to Halt US AI Model ‘Exploitation’ by Chinese Rivals(抜粋)

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