(ブルームバーグ):カナダのアルバータ州は、日量100万バレルの原油をブリティッシュコロンビア州北部経由で輸送する新たなパイプラインについて、3つのルート案を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。カナダ当局はアジア向けエネルギー輸出の大幅拡大を計画している。
州政府とカナダのカーニー政権は、産業向け炭素価格設定に関する合意にも近づいており、2週間以内に最終合意に至る見通しだという。非公開の協議だとして関係者は匿名を条件に語った。
新たな原油パイプラインは、カナダをエネルギー超大国にするというカーニー首相の構想に不可欠。就任から1年経過したカーニー首相は、トランプ米大統領による関税賦課で両国の長年の自由貿易協定が揺らいだことを受け、米国依存を減らす経済戦略を掲げている。
ただ、パイプラインの建設には数年を要するため、中東情勢の緊張を受けた足元のエネルギー供給逼迫(ひっぱく)の解決策にはならない。それでも長期的には、カーニー首相やアルバータ州のスミス首相は、中国や韓国などへのエネルギー輸出拡大の機会があるとみている。トランス・マウンテン・パイプラインの拡張によりアジア向け輸出は増加しているものの、現在でもカナダの原油輸出の約90%は依然として米国向けだ。
カナダ国内では北西部を通る原油パイプライン構想に政治的・技術的な障害が多い。ブリティッシュコロンビア州政府や環境団体、一部の先住民グループが反対しており、実現には石油タンカー規制の緩和が必要となる。
一部の専門家は別のアプローチとして、トランス・マウンテンと同様のルートでバンクーバー地域を経由する輸送拡大を提案している。同パイプラインはカナダで唯一、海港に接続する原油輸出パイプラインだ。グローブ・アンド・メール紙の今週の報道では、カーニー政権がこの案を支持しているとされる。
しかし、新パイプラインの初期計画に数百万ドルを投じているスミス州首相は、北部ルートに大きな利点があるとみていると、関係者の1人は語った。3つのルート案には港湾都市プリンスルパートや、それより北の沿岸2地点が含まれる。
スミス首相は南部ルートの可能性を排除してはいないが、州当局はコストが大幅に高くなるとみているという。
スミス州首相の報道官サム・ブラケット氏は声明で、「アルバータ州政府は西岸への新たな原油パイプラインについて、あらゆる可能な選択肢とルートを検討している」と説明。「提案主体として、経済性、社会的責任、先住民への配慮を満たす実行可能なルートを評価している」とし、7月1日までに連邦政府の大型プロジェクト局に提案を提出する方針を示した。

原題:Alberta Eyes Three Northern Routes for Oil Pipe to Feed Asia (1)(抜粋)
--取材協力:Jade Khatib、Thomas Seal.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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