イランによる事実上の封鎖が続くホルムズ海峡だが、中には海峡を通過する船舶も確認されている。ブルームバーグがまとめた船舶追跡データに基づいて、最新の動向をまとめた。

28日には合計7隻の船舶がペルシャ湾を出たことが確認された。原油タンカー1隻に加え、液化石油ガス(LPG)タンカー2隻とばら積み船4隻だった。

7隻はいずれも、イランのララク島とゲシュム島の間にある狭い水路を通る北寄りのルートを取ったとみられる。

このうちサウジアラビア産原油の小口貨物は、イラン沿岸に沿うルートでホルムズ海峡を通過し、パキスタンに向かっている。

ホルムズ海峡を通過する船舶数は、戦争が始まる前の水準のごく一部にとどまっている。イラン議会は、安全な通航を求める船舶に通航料を課す法案の草案を策定している。

船舶の信号に対する電子的な妨害により追跡は困難になっており、データの即時性と信頼性はさらに低下している。高リスク海域では自動船舶識別装置(AIS)トランスポンダーを停止する船もある。

イラン関連の原油タンカーはトランスポンダーを停止したままホルムズ海峡を通過し続けており、Tankertrackers.comによると、3月1-23日の輸送量は日量平均約160万バレルで推移している。

週末の報道によれば、イランはマレーシア船籍のタンカー7隻がペルシャ湾から出て、ホルムズ海峡を通過する許可を与えたという。マレーシアのハサン外相の発言としてスター紙が伝えたところによると、足止めされていた船舶は間もなく出航できる見通し。また、パキスタンのダール外相によると、イランはさらに20隻のパキスタン船籍船のホルムズ海峡通過を認めた。

ペルシャ湾外への通航

28日の通航で最も注目されたのは、約65万バレルのサウジ産原油を積載しパキスタンに向かうタンカーの「P. Aliki」だ。ブルームバーグの船舶追跡データで確認された。

また、28日に海峡を通過したLPG船2隻はインドに向かっている。

ばら積み船4隻も28日に出域が確認され、このうち2隻はイラン船籍だった。

このほか、29日朝にはイラン関連の原油タンカー「Tawanna」もペルシャ湾を出た。調査会社ボルテクサによると、同船は3月初めにカーグ島から原油を積み込んだ。ロシア産原油取引に関与したとして米国、英国、欧州連合(EU)の制裁対象となっている。

高リスク海域では船舶が信号を停止するため、通過数は実際より少なく見え、後からデータが追加される可能性がある。

ペルシャ湾内への通航

28日には、小型LPG船2隻とばら積み船1隻がペルシャ湾に入ったことが確認された。LPG船1隻とばら積み船はイラン沿岸を航行しており、もう1隻のタンカーはより南寄りのルートを取っている。

29日朝には、ばら積み船1隻がペルシャ湾に入ったことが確認された。同船はAIS信号によると、イランのバンダル・イマーム・ホメイニ港に向けて食料品を積載している。

【注記】

船舶はホルムズ海峡から十分に離れるまで位置情報を送信しない場合がある。ペルシャ湾を出入りした可能性のある船舶を把握するため、オマーン湾、アラビア海、紅海を含む広範囲で自動位置情報データを収集した。

ホルムズ海峡通過の可能性がある動きが確認された場合、信号履歴を精査し、その動きが実際のものか、あるいは電子的妨害により船舶の位置が偽装されるスプーフィングの結果かを判断している。

トランスポンダーが切られたままになっている場合、一部の通過は検知されていない可能性がある。イラン関連の原油タンカーは、ペルシャ湾を出た後、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラを通過してから約10日後にマラッカ海峡に到達するまで信号を発信しないことが多い。他の船舶も同様の手法を取っている可能性があり、数日間は追跡画面に表示されないことがある。

このトラッカーは、あらゆる種類の商業船舶の動向把握を目的としている。

原題:HORMUZ TRACKER: Saudi Crude Heads to Pakistan in Rare Transit(抜粋)

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