原油価格は序盤の下げを消す展開。トランプ米大統領がイランのエネルギー施設攻撃に関する期限を再び延長し、市場には短期的な安心感が広がったが、戦争の行方を巡る不透明感は4月まで持ち越される見通しとなった。

北海ブレント原油は下げ幅を縮小し、1バレル=108ドル前後で推移。米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は94ドル近辺となっている。

トランプ氏は、イラン側が7日間の猶予を求めたのに対し、10日間を認めたと説明。新たな期限は4月6日まで延びた。

今回の延長により、交渉の時間が確保されるほか、米国による中東地域への増派余地も広がる。事情に詳しい関係者によると、米国防総省はここ数日に海兵遠征部隊の中東への派遣を命じたほか、トランプ氏は陸軍第82空挺(くうてい)師団から兵士1000人超を中東に派遣するよう命じた。

これとは別に、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、国防総省が最大1万人の地上部隊の追加派遣を検討していると報じた。

ブレント原油は今月、月間として過去最大の上昇率となる見通しだ。米・イスラエルとイランの戦争が産油地域である中東を揺るがしている。イランがホルムズ海峡のほぼ全面的な封鎖を強行する中、この紛争は世界経済に不可欠なエネルギーの流れを大きく制限している。

INGグループの商品ストラテジスト、エワ・マンティー氏は「停戦の先送りは短期的には市場の緊張を和らげるが、リスクは依然として上振れ方向に偏っている」と指摘。すでに日量約800万バレルの供給が停止されており、さらにペルシャ湾を通過するより大規模な輸送も脆弱(ぜいじゃく)な状況にあるため「地政学的なプレミアムが大きく低下する可能性は低い」としている。

マッコーリー・グループのピーター・テイラー氏らアナリストによると、戦争が3月末までに終結する確率は約60%とされる一方、6月末まで長期化する可能性も40%ある。後者の場合、原油価格は1バレル=200ドルに達する可能性があるという。

外交面では、トランプ政権がイランでの戦争の出口戦略を協議するため、バンス副大統領の今週末のパキスタン訪問を調整していると、CNNが米政府高官2人の話として報じた。他の高官も会合に参加する可能性があるという。

イランはタスニム通信を通じ、米国の15項目提案を拒否した後、独自条件を提示し、回答を待っていると確認した。条件には、米国とイスラエルが攻撃を再開しない保証や戦争被害の賠償、ホルムズ海峡に対するイランの権限の承認が含まれる。

トランプ氏は26日の閣議で、イランが石油タンカー10隻のホルムズ海峡航行を認めたと述べた。一方、ベッセント米財務長官は、ホルムズ海峡の海上輸送を促進するための米国の保険プログラムがまもなく開始されるとの見通しを示した。

ブレント先物は3月に入ってすでに47%余り昇しており、ディーゼルやジェット燃料など石油製品の価格はさらに大幅に上昇している。こうした上昇は企業や消費者の負担となっており、世界的なインフレの同時加速と成長鈍化への懸念を引き起こしている。

エンベラスの石油・ガスアナリスト、カール・ラリー氏は「われわれはもはや解決ではなく先を見据えている。状況がさらに悪化する可能性を織り込みながら週末を迎えることになり、好転ではなく悪化を待つ展開だ」と述べた。

原題:Oil Steadies as Trump Delays Timeline for Iran Energy Strikes(抜粋)

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--取材協力:Charles Gorrivan.

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