(ブルームバーグ):イランは、ペルシャ湾周辺諸国に対し、複数のエネルギー施設が今や「正当な攻撃対象」になったと警告した。同国の巨大ガス田である南パルス天然ガス田がイスラエルの攻撃を受けたことへの報復措置としている。石油・ガス市場には一段の動揺が広がった。
イラン準国営のタスニム通信は18日、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)にある施設が、ミサイル攻撃の対象となり得る施設の一覧に含まれていると報じた。これとは別にファルス通信は、イランのエネルギーインフラへの攻撃は「決して報復なしには終わらない」と伝えた。
慎重を期する情報であることを理由に匿名で取材に応じたイスラエル高官は、南パルス天然ガス田への攻撃を実施したと認めた。同ガス田はペルシャ湾に位置し、イランとカタールが共同で保有している。
カタール外務省の報道官はX(旧ツイッター)への投稿で、同ガス田への攻撃は「危険で無責任な行為だ」と非難した。
原油先物は18日の取引で再び上昇。北海ブレント先物の上昇率は一時5%を超え、1バレル=109ドル台を付けた。前日も3%余り上昇していた。
2月28日に戦争が始まって以降、原油価格はほぼ50%上昇した。ホルムズ海峡が事実上閉鎖されていることを受け、中東産油国の多くは生産削減に踏み切っている。
トランプ米大統領は、同盟国がホルムズ海峡の安全確保に消極的だと繰り返し不満を示してきたが、18日には、米国以外の国々が同海峡の責任を担うべきだとSNSに投稿。「米国の同盟国は状況をしっかり認識し、ホルムズ海峡の開放に向けて行動すべきだ」と語った。
高市早苗首相は18日から、就任後初めて米国を訪問する。首脳会談で経済安全保障などの連携強化を目指すが、ホルムズ海峡を巡る同盟国の対応に不満を示すトランプ大統領の出方は不透明で、首相は対応に苦慮しそうだ。
報復の応酬
イランは18日、UAEやサウジ、クウェートに対して新たなミサイルおよびドローン攻撃を展開した。また、イスラエルのテルアビブも攻撃し、2人が死亡した。これらの攻撃の前には、イランがイスラエルの攻撃により同最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長が殺害されたことを認めた。
イラン軍部は、ラリジャニ氏だけでなく、民兵組織バシジのソレイマニ司令官の殺害に対する報復も誓った。イスラエルによると、両氏は同じ空爆で死亡した。

イスラエルと米国はイランへの空爆を継続している。米国は17日遅くに、ホルムズ海峡近くのイランのミサイル拠点を貫通弾(バンカーバスター)で攻撃したと明らかにした。トランプ大統領は同海峡の再開に向けた取り組みを強めている。
一方、イランはホルムズ海峡を通じた自国産原油の輸送は戦争前とほぼ同じペースを維持し、地域の他国の輸送が滞る中で海峡の支配を最大限活用している。米国の攻撃を受けた主要輸出拠点カーグ島でも、原油の積み出しは続いているとみられる。
イランのアラグチ外相はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラとのインタビューで、「戦後を見据え、ホルムズ海峡と船舶の通航の在り方について新たな枠組みを設計する必要がある」と発言。「そうすることで、イランおよび地域の利益に配慮しつつ明確な規則の下で、この水路の平和的な航行を恒久的に維持できるようにすべきだ」と述べた。

イランでの戦闘と並行して、イスラエルはレバノンでの攻勢を強めている。レバノン政府によると、イスラエルによる攻撃で900人超が死亡した。
戦闘による死者数は4000人を超え、その4分の3以上がイランに集中している。中東のその他の地域でも数十人が死亡し、米軍はこれまでに13人を失った。
原題:Iran Warns Gulf Nations of Major Response After Gas Field Strike(抜粋)
--取材協力:Fiona MacDonald.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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