ロボタクシーとは通常、自動運転による配車サービスを指す。人間の運転手がいなくても自動で走行し、乗客から料金を徴収する車両だ。

米アルファベット傘下のウェイモは、米国で最大規模の商用サービスを展開している。アマゾン・ドット・コム傘下のズークスは規模が小さく、運賃を徴収していないが、事業拡大を準備している。ウーバーは自社の自動運転システムを開発していないが、代わりに人間のドライバー、そして最近ではロボットを含めて供給を集約するプラットフォームとして機能している。

この業界では長年、安全ドライバーの必要性を巡る議論が続いてきた。いつ人間の監視ドライバーは不要になるのか。誰が最初にそうしたドライバーなしで規模拡大を実現するのか、という問題だ。

筆者は先週、サンフランシスコでウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)とズークスのアイシャ・エバンスCEOに会い、ウーバーのアプリを通じてズークスの車両をラスベガスの道路に投入する提携について話を聞いた。その対談と、ワシントンの規制当局による最近の動きを踏まえて感じたのは、この業界の本当の分岐点はもっと単純だということだ。つまり「ハンドルの有無」である。

多くの自動運転車には今でもハンドルが付いている。ウェイモの車両もそうだ。米国の連邦自動車安全基準は、人間がハンドルの後ろに座ることを前提に策定されている。たとえドライバーがいなくても操作装置を残していれば、既存の規制の枠内に収まりやすい。

ズークスはそれを完全に取り払った。

ハンドルはない。ペダルもない。ドライバー用の操作装置も一切ない。座席は内側を向き、運転席も存在しない。システムそのものがドライバーなのだ。

インタビューで特に印象に残ったのはこの点だ。ウーバーには他にもロボタクシーの提携がある。既に一部の都市では乗客をウェイモの車両とマッチングしている。ただ、それらの車両は依然として「自動車」に見えるし、そう感じられる。ズークスの車両はそうではない。

コスロシャヒ氏は「自動運転は交通の未来を象徴するものだと考えている。最終的には人間より安全であり、より多くの人が交通サービスを利用できるようになる」と語った。

一方で、ズークスの特徴も強調した。「これは専用設計の車両だ。車内に入ると非常に広く、ゆとりのある空間に感じられる。それでいて車両自体は非常に効率的だ」とコスロシャヒ氏は述べた。

ここで重要なのが「専用設計」という言葉だ。これは改造したSUV(スポーツタイプ多目的車)ではない。既存の車にソフトウエアを載せただけのものでもない。都市の道路を走行するために設計されたロボットなのである。

ズークスとの提携で興味深いのは、ウェイモとの提携と同様、アプリを開いても必ずロボタクシーが配車されるわけではない点だ。判断するのはアルゴリズムであり、車両の空き状況であり、利用者の条件でもある。人間のドライバーが運転するトヨタのカムリを想定して配車を頼んだのに、ハンドルのない箱型のポッド車両が来る可能性もある。

エバンス氏は配車戦略を率直に説明した。「ラスベガスにはさまざまな人が訪れる。ズークスを知っている人もいれば、知らない人もいる。だがズークスを知らなくてもウーバーは知っている可能性が高い。ならば、その仕組みを活用しない手はない」。

ここまでは商業面の話だ。

だが政策面の議論も追いつきつつある。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は昨年、「双方向走行が可能で、自動運転システムを備え、従来の運転装置を持たない」車両について、ズークスの例外申請を承認した。現在、規制当局はさらに踏み込もうとしている。新たなパブリックコメント(意見公募)は、ズークスが開発した専用設計ロボタクシーの米国初となる商用展開を認める可能性に関するものだ。

ダフィー運輸長官は、車両にドライバーが全くいない場合、どの規則が依然として意味を持つのかを問い直している。ここで技術の問題は避けて通れない。

コスロシャヒ氏とエバンス氏がスタジオに来る前日、筆者の同僚ナタリー・ラングはワシントンで企業や規制当局の話を聞いていた。ハンドルのない未来をどのように法的に現実のものにするかについてだ。

ズークスが年間最大2500台の車両を公道に投入できるようにする新たな規制免除の申請についてパブリックコメント期間を設けると発表し、ダフィー長官はこれを「新しい自動運転フリートの大規模展開に向けた重要な節目だ」と述べた。

ハンドルもペダルもなく、人間が介入する余地もないとすれば、それはまだ「自動車」なのか。それとも客室が付いたソフトウエアなのだろうか。

ウーバーとズークスは、まさにその問いを試している。自動運転が機能するかどうかだけではない。米国の道路を走る車の中には、そもそも人間が運転することを想定していないものがある。その事実を乗客や規制当局が受け入れる準備ができているのか。それこそが本当の転換点なのだ。

原題:Zoox Pushes to Expand the Definition of Robotaxi: Tech In Depth(抜粋)

--取材協力:Natalie Lung.

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